ひとつめは、「AIなどに代替されずに残る仕事も、大きく変質せざるを得ない」ということです。
人間が担うものとして残った仕事についても、その内容は大きく変化していき、それによって「キャリアショック」が起きるという問題も直視しなければなりません。
残る仕事にも「新たなスキル」が必要になる
かつて、パイロットの操縦の腕前は、「いかに巧みに操縦桿を操作できるか」という、いわゆる「わっぱ回し」の技能に左右されました。それが1989年に通称「ハイテクジャンボ」の運航が開始され、「フライ・バイ・ワイヤ」のシステムに置き換わりました。
この大きな変化で、「わっぱ回し」の技量はその重要性を失い、代わりにシステムオペレーターとしての知識が重要になったのです。
それにより、航空機の全損事故件数は年々減少しました。ところが、ここ10年ほどの重大事故発生率の推移を見ると、大きな減少が見られないのです。
事故が「テクニカルな問題」よりも、人の「ノンテクニカルスキル」の問題と関わるようになっていることを物語っています。
ここでいう「ノンテクニカルスキル」とは、コミュニケーションやチームビルディング、ディシジョンメーキングなど、企業において組織のリーダーに求められるスキルとほぼ同じものです。
システムへの置き換わり後に残った人の仕事でも、「新たなスキル」が重要となり、長年の経験の積み重ねだけではついていけなくなっています。
これはパイロットという特殊な仕事に限らず、広くビジネスの世界全体で起きているのです。
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