ピケティはどこが「間違っている」のか ビル・ゲイツも完全には納得しなかった

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中野 国が配分するって考え方、古いですよね。国家が正しくフェアに行動すれば、国が配分するというのも解るのですが、今の時代、そんなことを信じている人はいないわけで・・・・・・。

渋澤 う~ん、僕は、残念ながら、今の時代はより国家資本主義的な色彩が強まっているような気がします。

だって量的緩和の金融政策は国家でしょう。GPIFだってそうだし、官民ファンドもそうですが、とにかく国・政府の息が、いろいろなところにかかっている。そのうえ、ピケティが言う「累進課税で配分しましょう」では、さらに国家資本主義を強めることになりかねません。日本人は政府を信用していないのに、なぜか経済の形はどんどん政府色を強めている。

日本は帰属階層より世代間の格差が問題

中野 でも、国民の誰もが代替策を提示できていませんからね。

渋澤 格差は政府に任せれば解決するのかな~。

藤野 今回、ピケティさんが来日して認めていることなのですが、日本では帰属階層間の格差よりも世代間格差の方が深刻だと。その部分をどう是正するかという点は、「21世紀の資本論」にも触れられていませんでしたね。

渋澤 そこが、日本の格差の文脈で最も大事なポイントなのだと思います。上の世代というのは、高度経済成長期を生きてきたから、年金制度にしても何にしても、無意識のうちに多大な恩恵を受けているわけですが、今の40歳よりも下の代になると、年金制度もどうなるか分からない。こうした世代間の不公平が非常に大きい。

中野 ただ、高齢者がおカネ持ちといっても、その中身を細かく見ていくと、高齢者の中でもおカネを持っていない人が圧倒的に多いので、相続が進むと、今度は次の世代間で格差が再生産される恐れがあります。

藤野 孫への教育資金贈与などで、子供世代を超えた富の移転が大分進んだと言われていますが、こと相続という点で考えると、今は高齢化社会だから被相続人の年齢が80代、90代だとすると、相続人の年齢は60代、70代になるケースもあります。だから、これからは高齢者と言われる世代の格差も、一段と広がっていくと思います。

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