タイムマネジメントを超える時間のうまい使い方 80歳まで生きるとして、人生はたった4000週間
ところが現代の、いわゆるタイムマネジメントというやつは、あまりにも偏狭すぎて役に立たない。タイムマネジメントの指南書が教えることといえば、いかに少ない時間で大量のタスクをこなすかだったり、いかに毎朝早起きして規則正しく過ごすかだったり、あるいは日曜日に1週間分の食事をまとめてつくりましょうということだったりする。
いや、もちろんそれも大事だと思う。けれど、それだけでは話にならない。
限界を直視して受け入れる
自分の時間は、あまりにも短い。その事実を直視するのは怖いことだ。
タフな選択は避けられない。やりたいことを全部やる時間はない。さらに、限られた時間の使い方さえも自分ではコントロールできない。すべてを完璧にこなせる人なんていない。体力や才能、その他のいろんなリソースが足りない。
そんな現実を直視したくないから、僕たちは全力で現実を回避する。まるで何の制約もないかのように、非現実的な幻想を追いつづける。完璧なワークライフバランス、やりたいことがすべて実現できるタイムマネジメント。
あるいは逆に、先延ばしという戦略もある。難しいことに挑戦して失敗するのが怖いから、延々と先延ばしして「本気を出せばできる」と思いつづける。
忙しさも先延ばしも、結局は怖いことから目をそらすための方便だ。ニーチェは次のように言う。
「我々は生活に必要な以上に熱心に、夢中で日々の仕事に取り組んでいる。立ち止まって考える暇ができては困るからだ。世の中がこれほど忙しいのは、誰もが自分自身から逃避しているためである」
急げば急ぐほど、時間のかかる仕事(あるいは幼児の世話)にイライラする。計画を完璧にこなそうとすればするほど、小さな不確定要素への恐怖が高まる。時間を自分の自由に使おうとすればするほど、人生は孤独になっていく。
これは「制約のパラドックス」と呼ばれるものだ。
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