タイムマネジメントを超える時間のうまい使い方 80歳まで生きるとして、人生はたった4000週間

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いつか不可能が可能になると信じて無理を続けているかぎり、あなたは暗黙のうちに、世の中の無理な要求に加担していることになる。

一方、不可能は不可能なのだと理解すれば、それに抵抗する力が生まれる。現実を理解したときに初めて、世の中の期待に振りまわされず、今できる中で最善の生き方を選ぶことができるのだ。

時間が限られているという事実を否定することなく、受け入れる。そのほうが、僕たちの人生はずっと充実したものになる。

古代ギリシャや古代ローマの哲学者たちも、きっと賛成してくれると思う。「人間のもっとも崇高な目標は、神のようになることではなく、真摯に人間であろうとすることだ」と古代の哲学者たちは考えていた。いずれにせよ、僕たちは限りある人間にしかなれない。それをまっすぐに受け止めたとき、僕たちは本当の意味で、強くなれる。

冷たいシャワーで目を覚ます

1950年代、チャールズ・ガーフィールド・ロット・ドゥ・カンという偏屈なイギリス人作家が、『生きることを学べ(Teach Yourself To Live )』という本を書いた。一言でいうと、自分の限界を受け入れろ、という内容だ。「なんて暗い考え方なんだ」と批判されると、彼はこう言い返した。

限りある時間の使い方
『限りある時間の使い方』(かんき出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

「暗いだと? まったくもってそんなことはない。冷たいシャワーを浴びるのと同じくらい、目の覚める生き方だ。あなた方はもう、多くの人のように、誤った幻想に目を曇らされて困惑する必要がないのだ」

時間の使い方という難問に立ち向かう僕たちにとって、これはとても勇気づけられる言葉だ。無限の生産性やスピードを求める社会を、自分ひとりで覆すことは誰にもできない。それでも、馬鹿げた理想を今すぐ放り捨てることならできる。

現実を直視するのだ。

さあ、シャワーを全開にして、きりっと冷えた水しぶきを全身に浴びよう。

オリバー・バークマン ガーディアン記者

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Oliver Burkeman

英国ガーディアン紙の元記者。外国人記者クラブ(FPA)の若手ジャーナリスト賞を受賞し、連載コラム“This Column Will Change Your Life”で人気を得た。生産性と限りある人生をテーマにしたニュースレター“The Imperfectionist”も好評を博している。著書にベストセラー『限りある時間の使い方』(小社刊)のほか、『ネガティブ思考こそ最高のスキル』『HELP! 「人生をなんとかしたい」あなたのための現実的な提案』(いずれも下降全訳、河出書房新社)などがある。

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