「悩む受験生に助言はするな」東大生が言い切る訳 相手側に受け入れる土壌がなければ意味がない

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これは、受験生だけではありません。親と子、上司と部下……さまざまなシチュエーションで同じことが言えます。

「クラスの人とうまくいかない」とか「仕事のやり方がわからない」とか、人は多くの悩みを抱えて生きていますが、その本当の解決策は結局、自分自身にしかわからないものなのです。

それらの悩みに対して、「もっと自分から積極的に話しかけなよ」とか「やり方を考える前にまずは手を動かしてみて」など、たとえどんなにいいアドバイスをしても、受け取る側にとっては意味がないものになってしまうのです。

大切なのは、桜木先生も言っていたとおり、相談してきた相手の言葉を反芻したり言い換えたりすることです。たったそれだけでも、結果的に相手も自分の悩みを客観的にとらえることができ、整理されて、「こうすればいいんじゃないか」という解決に向かうこともあるのです。

音楽の先生に悩みを相談していた

実際、僕が受験生時代に自分の悩みを相談していたのは、実は音楽の先生でした。

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その先生が僕に「東大に行け」と勧めてくれたのですが、その先生から受験勉強に関する具体的なアドバイスや、教科の勉強法について教えを受けたことは一度もありませんでした。それでも、この先生がいたから僕は東大に行けたと思っています。

僕が相談をするたびに、「もっとこうすべきだ」などと言わずに、「こういうことで悩んでいる、ってこと?」など、僕の言ったことを言い換えたり、まとまりなく僕が話した内容をわかりやすく言い直してくれたりしました。そうやって会話を続けてくれたことで、僕自身の中で整理され、そして精神的に安定して受験もうまくいったように思います。

「いいアドバイス」なんてしなくても、実は相手の悩みが解決されることがあるのです。

もちろん当然ですが、「アドバイスをしない」からといって、話を「うんうん」と聞き流したり、てきとうな相槌を打ったりするだけでは、相手にとって逆効果となってしまいます。きちんと相手の話を聞いたうえで、自力で答えにたどりつけるように導くことが、お互いの信頼関係を築くきっかけにもなるのです。

だから、親御さんや社会人の方はぜひ、まずは悩みを打ち明けた話を言い換えるなどで繰り返してあげてください。そうして相手と話を続けていくことで、きっと相手の悩みも解決へと近づくはずです。

西岡 壱誠 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当

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にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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