言い換えれば、コメントの後半のふざけたフレーズによって、評価が大きく分かれたのだ。
ユーモアは他人から受ける印象を左右するだけでなく、他人に対する私たち自身の態度にも影響を及ぼす。
同じ研究において、実験の参加者たちが、その後のタスクを担当するリーダーを選んでください、と指示されたところ、ユーモアのある感想を発表した研究助手をリーダーに選んだ人たちのほうが、はるかに多かったのだ。
その決め手となったのが、あの(とくに面白くもない、スイス国旗の)ジョークだった。
ユーモアを発揮したことによって、勇気や、自信や、頭の回転の速さを感じさせ、地位が高くて有能そうな印象を与えたのだ。
ユーモアのある人は知的に見える
ユーモアのセンス、すなわちユーモアを発揮しユーモアを解する能力があることは、知的能力測定と相関関係にあることが、研究によってたびたび明らかになっている。
研究者のダニエル・ハウリガンとケヴィン・マクドナルドのある画期的な研究では、参加者たちに次の指示をした。
まず、「もし1日だけ、ほかの動物になれるとしたら、どんな動物にはなりたくないですか? また、その理由も述べてください」というふざけた設問に対して、面白い回答をする。さらに、「その動物をとびきり面白おかしく描写してください」というのだ。
匿名の審査員たちが、参加者たちのユーモラスなプレゼンを評価した。すると、プレゼンがもっとも面白いと評価された参加者たちは、事前に行われた一般知能検査の得点が非常に高かったことがわかった。
太縁メガネをかけたり、辞書で隠しながら漫画を読んだり、家にテレビがないふりをしたりするのとはちがって、ユーモアは嘘いつわりのない知性の証だ。コメディ女優のティナ・フェイはこう語っている。「どれくらい頭がいいかは、その人がどんなことで笑うかを見ればわかる」。
(翻訳:神崎朗子)
ジェニファー・アーカー
スタンフォード大学ビジネススクール教授、行動心理学者
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Dr. Jennifer Aaker
スタンフォード大学ビジネススクールのゼネラル・アトランティック・プロフェッサーで行動心理学者。目的と意義が個人の選択に及ぼす影響や、テクノロジーが人間の幸福や企業の成長にプラスの影響をもたらす可能性に関する研究の第一人者。博士の研究は『エコノミスト』『ニューヨーク・タイムズ』『ウォールストリート・ジャーナル』『アトランティック』『サイエンス』などの主要紙誌でも紹介されている。Distinguished Scientific Achievement Award(科学部門顕著業績賞)、MBA年間最優秀教授賞などを受賞。
ナオミ・バグドナス
スタンフォード大学ビジネススクール講師、エグゼクティブ・コーチ
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Naomi Bagdonas
スタンフォード大学ビジネススクール講師、エグゼクティブ・コーチ。組織のリーダーやフォーチュン100社、非営利組織などに向けたインタラクティブなセッションを促進し、エグゼクティブやセレブリティが『サタデー・ナイト・ライブ』や『トゥデイ』等の番組に出演する際の指導も行っている。〈アップライト・シチズンズ・ブリゲード・シアター〉で正式なトレーニングを受けたバグドナスは、劇場の舞台に立ってコメディーを実演し、サンフランシスコ郡刑務所では、レジリエンスを高めるための即興コメディーを教えている。