入学金や慰謝料に税金は?案外知らない贈与の話 いくら以上もらえば贈与税を払う必要があるか

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Q3贈与では正式な契約書が必要ですか。税理士に頼むほうがいいですか。

A3:贈与契約書はなくてもいいのですが、あったほうがトラブル防止にはなります。依頼先は弁護士あるいは行政書士です。シンプルな内容であれば、個人でも作ることができます。

贈与は口約束でも成立しますが、契約書がないと、もらう側はあげる側に「まだ財産をくれないの?」と注文を言えません。税務調査で税務署から余計な疑いをもたれたり、親族と遺産分割で揉めたりする恐れもあります。トラブルを未然に防ぎたいなら、契約書は作ったほうがいいでしょう。

贈与契約書は弁護士か行政書士に頼めば、作成してもらえますし、費用は2万円以上が一般的。もっとも「金500万円を子に贈与する」など簡単な内容なら自分で作れます。ネットや書籍にある雛形を参考にするとよいでしょう。

Q4贈与する額が大きい場合、贈与税がかからない条件とは何ですか。

A4:「親からその都度もらう教育費や生活費」「お年玉やお中元など慣習的なやり取り」には贈与税がかかりません。金額に関係なくです。このほかは贈与税がかかります。それでも、制度を上手に使えば、非課税で贈与できます。

以下の贈与は、もらう金額に関係なく、贈与税はかかりません。配慮が必要な財産であるため、税法で非課税とされています。

親や祖父母といった扶養義務者から必要の都度もらう教育費や生活費

お年玉やお中元、卒業・入学のお祝いなど、慣習的なお金のやりとりで常識的な範囲のもの

離婚時の財産分与や慰謝料

ただし、金額が異常に多かったり、目的以外で使ったりすると、非課税にはなりません。生活費などを一括でもらうと、原則、贈与税がかかります。

しかし、もらった財産全額に、課税されるわけではありません。贈与税が課されるのは、財産から基礎控除(非課税枠)を差し引いた金額。基礎控除以下の金額でもらえば税金はかからないのです。

また、住宅や教育、結婚・子育てのための資金にも、非課税措置があります。措置を使えば、1000万~1500万円などの大金を一括でもらっても、贈与税はかかりません。さらに20年以上連れ添った配偶者から自宅をもらっても2000万円まで非課税です。

贈与税には暦年課税と相続時精算課税がある

Q5贈与税には、暦年課税と相続時精算課税がありますが、違いは何ですか。

A5:贈与税の制度は2つあります。1つは「暦年課税制度」、もう1つは「相続時精算課税制度」です。

両者の最も大きな違いは税の計算期間になります。まず暦年課税は、年間ベースで贈与税を計算します。対して相続時精算課税は、これまでにもらった累計のベースで贈与税を計算します。このほか基礎控除や対象者などの条件に違いがあります。

暦年課税では、1月1日から12月31日までにもらった金額で、贈与税を計算。年間110万年までは課税されません。「1年間にもらった財産-基礎控除110万円」の金額に課すのです。18歳以上の子が親や祖父母からもらう特例贈与と、それ以外の一般贈与とで、税率は異なります。最低10%から最高55%の間で、特例贈与のほうが税率は低くなります。

他方、相続時精算課税では、時期を問わずもらった合計額で、贈与税を計算。累計2500万円になるまでは課税されません。「累計でもらった財産-特別控除2500万円」の金額に課すのです。税率は一律20%になります。

そのほかにも、暦年課税と相続時精算課税には、主な違いが3つあります。

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