独自試算!駆け込み贈与でできる相続「節税額」 今年に贈与税がかかっても、後の相続税が減る
相続税・贈与税大改正の足音が聞こえてくる。
今夏の参議院選挙を終え、次の衆議院選挙が実施されるまでの最大3年間は、税制の抜本改正を行いやすい期間と言われている。2020年末、2021年末に騒がれていた相続税・贈与税の抜本改正も、この機会を逃すことはないだろう。
それでは相続税・贈与税はどのような制度に変わるのか。
2020年度の政府税制調査会では、相続開始前10年間または15年間の贈与を相続財産に含める、ドイツやフランスの相続税制度の議論が行われていた。このことから、日本でも現行の「暦年贈与」が廃止され、相続開始前の10~15年以内の贈与財産は相続財産に加算し、相続税の対象といった制度に改正されるのではないか、との意見が強い。
8月8日に発売された『週刊東洋経済』8月13日-20号では「変わる相続」を特集。駆け込み贈与による相続税「節税額」のシミュレーションや、マンション節税の個別事例、さらには今後の相続税・贈与税の一体化などについて、幅広く取り上げている。
年110万円超で贈与税を払うがトータルで相続税減
暦年贈与では年の1月から12月まで、受贈者1人当たり110万円までが非課税になる。よって毎年コツコツと贈与税の課税対象にならない110万円以下の贈与を行ってきた者が見受けられた。かつ現状では、暦年贈与で贈与した財産は、相続前3年以内でなければ、相続税の対象にはならない。
しかし、相続税などの抜本改正によって、最短のケースでは、2023年以降の贈与から暦年贈与制度が廃止されることも想定される。そうするとこの2022年が暦年贈与制度を適用できる最後の年になる。
これらのことから特に2021年より、暦年贈与制度を活用した、いわゆる「駆け込み贈与」が急増しているのだ。
メリットは110万円以下が非課税になるだけではない。多額の資産を有する富裕層の場合、親から子への金融資産の贈与金額が110万円を超え、一定の贈与税額を納めても、その贈与によって、後の相続税額を軽減することができる。
「駆け込み贈与による相続税の節税効果は、資産の総額や種類、配偶者の有無、子の数、贈与金額などによって、変わってくる。金融資産を子に相続することを検討している場合、何人の子に、どのくらい贈与することで、どれぐらい相続税が軽減できるのか、気になるところだ。
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