入学金や慰謝料に税金は?案外知らない贈与の話 いくら以上もらえば贈与税を払う必要があるか
1つは誰が使えるか。暦年課税はすべての人が対象になります。ところが、相続時精算課税は、あげる人が「60歳以上の親や祖父母」で、もらう人が「18歳以上の子や孫」でないと使えません。
2つめは届出が必要かどうかです。暦年課税は届出がいりません。相続時精算課税は使うと決めた初回の贈与で、相続時精算課税選択届出書を税務署に出す必要があります。届出書は贈与税の申告書と共に提出します。いったん届出を出すと、その間柄の贈与はずっと相続時精算課税の対象となり、暦年課税を選べません。
3つめは相続税がかかるかどうかです。暦年課税でもらった財産には、原則、相続税はかかりません。例外的に、相続日(死亡日)前の3年間にもらった財産には相続税がかかりますが、それのみ。これに対し、相続時精算課税でもらった財産には、すべて相続税がかかります。たとえ相続で財産をもらっていなくてもです。
なお、相続時精算課税は、非課税枠が大きい反面、申告などのルールがかなり厳しい制度です。使う場合は事前に税理士に相談したほうがいいでしょう。
Q6:家族なら当事者同士が黙っていれば、税務署に贈与を知られませんか。
A6:税務署にバレるとしたら、相続税の税務調査か、もらった人の消費行動でしょう。
例えば、「500万円を父からもらったが、記録がつかないよう現金で受け取った。父と私が黙っていれば、贈与税を申告しなくてもバレない」と、思う人がたまにいます。しかし残念ながら、リスクはゼロではありません。
まずは税務調査。相続税の申告をした年の翌年か翌々年、相続税の税務調査が入ることがあります。この際、故人(被相続人)の預金通帳は、過去10年分見られます。大きな金額の引き出しがあれば、貸し付けか贈与が疑われます。自分(相続人)の預金口座や過去の申告を調べられることもあるでしょう。結果として贈与税の申告漏れが発覚するわけです。
このほかには高額の買い物でも発覚しやすいです。特に不動産を購入したとき。税務署から届く「お買いになった資産の買入価額などについてのお尋ね」といったような書面において、購入の資金源を聞かれます。「お尋ね」の回答と贈与税の申告を照らし合わせ、申告漏れの可能性があれば、税務調査が行われます。
相続税と贈与税、払うならどっちがお得か
Q7:贈与税と相続税では、支払うのにどちらが少なくて済みますか。
A7:相続人になる人が1人だけなら、相続税のほうが贈与税より少なくて済みます。基礎控除は相続税のほうが大きく、税率は相続税のほうが低いからです。ただし、相続人が2人以上だと、簡単には比較できません。相続税の計算が複雑だからです。
贈与税と相続税の計算は異なります。贈与税はいくら贈与されたかだけで計算できます。一方の相続税は、「相続した財産×税率」で計算しません。被相続人から相続した財産をすべて足したうえで、基礎控除を差し引き、課税される金額を算出します。そして、その金額を法定相続分で分けて税額を計算し--と、何段階かを踏んで、やっと最終的な納税額がわかるのです。
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