日本の大問題「風土が劣化した、重い組織」5大症状 「価値観」「上下関係」…昔のままで大丈夫?

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1つめは、「無意味、無価値な業務に忙殺されている。しかも、それを問題だとも思っていない」ことである。

業務の総点検で「やめる」「なくす」「削る」を徹底させる

【1】無意味、無価値な業務に忙殺されている。しかも、それを問題だとも思っていない

「重い組織」の原因の1つが、無価値・無意味な業務の増大である。どんなに忙しくても、それが「価値のある仕事」「意味のある仕事」であれば、現場の負担感はそれほど大きくはならない。問題は「忙しさ」にあるのではなく、その「中身」である。

その問題になる「中身」の1つが「無意味な会議やミーティングが多い」ことである。それだけでも時間や労力がとられるのに、会議やミーティングで使う膨大な書類作成もしなければならない。これでは無価値・無意味な業務が増える一方だ。

変革の第一歩は、業務や会議に思い切ってメスを入れ、徹底的に「身軽」になることである。無価値・無意味な業務から解放されれば、時間的な拘束だけでなく、気持ちも軽くなる。そのためには、すべての業務を総点検し、「やめる」「なくす」「削る」を徹底させ、業務の「代謝」を進めなければならない

【2】一見フランクで人当たりのいい上司のように振る舞うが、何か意見を述べたりすると、「いいから黙ってやれ」と急に高圧的な態度や言動に変わる

権力を握る上司による、部下に対する「高圧的・威圧的な態度と言動」は、組織風土劣化の起点であるケースが圧倒的に多い。面前で部下に暴言を吐いたり、吊るし上げたりすることによって、誰もものが言えなくなるし、言わなくなる。

「組織が劣化している重い組織」は、「上下関係」に非常にこだわり、より上位のランクにいる人間が、下の人を人とも思わない態度や言動を繰り返す。それは社長や役員であるとは限らず、部長や課長でも起こりうる。

すると、部下たちは上司に怒鳴られないようにするために「忖度(そんたく)」や「過剰防衛」をするようになる。たとえ意見が異なっていても、上司の機嫌を損ねたり、水を差したりするようなことはいっさい言わなくなる。上司のこだわった「上下関係」のままでは、組織の劣化が進むだけである。

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