3つめは、「封建的な『村』意識が強く、個に対するリスペクトがない。組織の論理ばかりを押し付けてくる。自由でオープンな共同体になっていない」ことである。
「古い共同体」を壊し「新たな感覚の共同体」を創造する
企業経営において「共同体」という概念は重要だと私は思っている。共通の目的の下、多様な人々が集まり、時に協働し、時に摩擦を生じさせ、大きな価値を生み出していく。連帯意識や仲間意識が生まれれば、そこから共同体意識が芽生えてくる。
しかし日本企業の多くは、昭和という時代を引きずったままの「古い共同体意識」や「古い価値観」がそのまま残っている。集団主義的、全体主義的な感覚が色濃く残り、同質性、画一性が尊ばれる前近代的な共同体の古いしきたりや窮屈さに、若い世代は辟易としている。若い人たちは共同体そのものを嫌っているわけではない。訳のわからない旧態依然とした封建的な「村」意識が彼らには到底理解できないのだ。
組織風土の変革とは、過去の組織風土に戻ることではない。時代と大きくずれてしまった「古い共同体」をぶち壊し、「新たな感覚の共同体」を創造することにほかならない。「古い価値観」を引きずったままの「旧来の共同体」は、そのまま滅びる運命にある。
風土が劣化する重い組織では、たとえ小さなことでも、何かを変えたり、新しいことに取り組んだりすることを嫌がる傾向が強い。改善したほうがいいとわかっていても、何かを変えることによってこれまでの「安定」が崩れ、ミスやトラブルが発生するリスクが高まることを恐れる。
さらに、何かを改善するということは、現場にとってとても面倒くさいことである。自分だけの範囲であれば改善は可能だが、ほかの人たちを巻き込むような改善では、関係する人たちを説得し、協力してもらわなければならない。だから、現場は改善に対して及び腰であり、前向きではない。
しかし、小さな改善でも、全員参加で積み重ねることによって、とてつもなく大きな成果につながる。また、小さな改善がきっかけとなり、そこからイノベーションが生まれることもある。「安定性」ばかりを求め、「小さな改善」もできないようでは「風土の劣化」は避けられない。
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