意外な盲点「根拠ある健康情報」も実は疑うべき訳 お茶のカテキン「血管の病気を防ぐ」は本当?

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もう1つ、「アンケート調査」も科学的根拠という意味では疑ってほしいと思います。「95%の人が満足しています」といったキャッチコピーをよく見かけますよね。でも、満足の基準はわかりません。また、臨床研究のように、例えば「玉ねぎを食べた人と食べていない人」などで比較している調査もありますが、ざっくり100人以下のデータの信頼性は低いと考えてください。

科学的根拠があるかどうかは、人を対象に比較されているかどうかがポイントと伝えましたが、その対象人数も重要で、例えば20人対20人といった少人数の比較では本当の傾向はわかりません。

ところで、トクホ(特定保健用食品)と呼ばれる商品がありますよね。トクホは、血圧や血中のコレステロールなどを正常に保つことを助けたり、おなかの調子を整えたりすることに役立つなど、特定の健康効果をもつ食品として、その有効性や安全性について審査を受けて、国の許可を受けている食品です。

お茶やヨーグルトなどトクホマークのついている商品は、スーパーやコンビニにもよく並んでいます。「トクホだから根拠もあっていいはず」と考えて選択するのだと思いますが、トクホであれば必ずしっかりした根拠があるかというと、残念ながら、そうではないものもあるのです。

トクホには「逃げ道」がある

トクホとして認められるには、人を対象とした比較試験が必要です。それも、その食品に使われている栄養成分を摂るグループと摂らないグループに分けて、なおかつ、被験者がどちらのグループなのかわからないようにして行う「二重盲検比較試験」が求められます。

ただし、その対象者数は、「統計学的に十分な有意差の有無を確認するに足りる試験方法と被検者を設定すること」とはされつつも、具体的に規定されているわけではありません。さらに“逃げ道”があって、統計学的に不十分な人数の場合には「報告例」として扱っていい、ということになっています。

そのため、トクホマークのついている商品のなかには、しっかりした比較試験が行われたうえで認められたものと、そうではないものが混ざっている可能性があります。

こうしたことから、例えば日本高血圧学会が発行している「高血圧治療ガイドライン」では、高血圧関連のトクホについて、こんなふうに結論づけています。

・降圧効果を有する成分が含まれてはいるが、十分な降圧効果は期待しがたい
・摂取については積極的に勧めない

私も、効果がないわけではないと思いますが、実証はされていないので、トクホマークがついているからといって、100%信じてはいけないと思っています。ですから、高血圧の人が医学的なエビデンスに基づいた薬をやめて、トクホに頼るといった選択はおすすめできません。せっかく薬で抑えられていた血圧が上がってしまいかねません。

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