研究者・棋士・エンジニアの顔を持つ28歳の生き方 「それぞれ全力を注げるからバランスがとれる」

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
「生意気な奴だと思われないか、最初は少し心配でした(笑)」(写真:エンジニアtype)

連載当初は、プロ棋士一年目。先輩棋士の将棋を解説するなんて生意気に見られないかと心配したそうだが、ふたを開けると各方面に好評。書籍で紹介した対戦相手の棋士から「面白い」と褒められることも多い。

そんな背景もあり、将棋AIのソースコードを見て「どうしてこう書くのか?」と疑問を持つことも多く、一度自分で作ってみたかったのだそう。

そして、ティアフォー退社後の2022年5月には、「世界コンピュータ将棋選手権」に自作の将棋AIで参加。独創的な技術やエンターテインメント性を示したプログラムとして「独創賞」を受賞した。

「将棋AIは、盤面を画像として入力し、画像処理させるのが一般的。今回、私は駒の文字を直接文字列として入力する自然言語処理的なアプローチをとったのですが、それが評価されたようです」

3つあるからバランスがいい

プロ棋士というとその道一本で食べている人も多いイメージだが、谷合さんは複数のキャリアがある方が心地良いのだという。

「もともといろいろなことに興味を持つタイプ。将棋もAI研究もプログラミングもどれも楽しいから全部やりたいんです。

没頭している時の集中力は高い一方、飽きっぽいところもあるので、やりたいことが複数あるくらいがちょうどいいんですよね。

将棋で負けてモチベーションが下がった時にプログラミングで気分を切り替えたり、逆にプログラミングで行き詰まった時に将棋で息抜きができたりしますから。基本的にはどれも好きなペースでやっていますが、論文の締め切り、対局や競技会の日程が迫っていたら、近いものを優先する感じです。

おかげでいろいろな人と知り合うことができ、視野や考え方が広がるメリットも感じています。私自身も大学の研究の過程で得た技術を会社で共有するなど、パラレルキャリアの強みを還元できていると思いますよ」

現在特に注力しているという「将棋ソフト」には、オープンソースとしてあげられているものも少なくない。 GitHubなどで公開されており、谷合さんも自身の将棋AIのソースを共有している。

「GitHubでスターが付くとうれしいですし、承認欲求が満たされてエンジニアとしてのモチベーションアップにもつながります。

次ページ悩ましいのが…
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事