コロナで留学中止から2年、留学復活のシナリオ データで浮き彫りになった過去最低の留学者数

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外務省が発出している「感染症危険情報レベル」で留学先のほとんどの国がレベル2(不要不急の渡航取りやめ)以上に指定され、留学先の国でも入国制限措置が取られている状況の中で、日本の大学も軒並み派遣留学を中止し、オンライン留学などに切り替えたのは、皆さんもご存じのとおりです。

留学者数が激減している中で、留学先には変化はあったのでしょうか。

今回、韓国が初の1位、2位は毎年不動の1位だったアメリカ、3位はカナダの順番となりました。韓国留学の人気は、前回記事『アフターコロナの人気留学先が「韓国」になる必然』でもご紹介したとおりです。カナダは、コロナ禍のオフライン留学で最も伸びたと関係者の間で言われており、後述の別のデータでも検証したいと思います。

文部科学省「トビタテ!留学JAPAN」広報担当の西川朋子氏によると、留学者数の減少傾向は次回の2021年度にも一定数、反映されるのではということです。

ただ徐々に復活の兆しもあります。日本人学生への奨学金の支給は、2021年6月から長期留学(9カ月以上)の希望者に対し、レベル2以上の国への留学も一定の要件のもとで再開、2022年2月より短期・中期留学(9カ月未満)に対しても条件付きで再開しており、現在はおよそ330名のトビタテ生が留学に参加している(6月20日取材時点)そうです。

海外大学進学の関心も高まってきている

コロナ禍でも留学の啓発や情報公開に努めてきたトビタテ!留学JAPANでは、海外にいる留学生からの模擬授業を企画したり、質問に答えるだけで科学的な自己分析ができる「ポテンシャル発掘診断」、保護者が見ていた中高生の留学「留学体験談マンガ」など、官民協働の強みを活かした啓発活動を積極的に進めています。

「最近、地方自治体の留学フェアに参加して感じるのは、海外大学進学の関心が高まってきていること。グローバルな教育を受けさせたい保護者の存在が大きい。また高校では2022年から探究学習がスタートし、課題解決型人材の育成が求められている。新しい動きとして、地域社会の課題を解決するために留学する高校生が増えてきている」と西川氏は話します。

最近の事例として、ある学生は学校の部活動が地域と連携する在り方について議論されている中、海外には学校毎にアスレチックトレーナーが設置されていることを知り、その勉強のためオーストラリアに留学、管理栄養士の仲間とチームで日本の高校にオンラインで知見をシェアしているそうです。

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