コロナで留学中止から2年、留学復活のシナリオ データで浮き彫りになった過去最低の留学者数

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ここまで個人留学や大学の動きを見てきましたが、2022年度は留学復活の年となるのでしょうか。

留学に対する不安要素はコロナ以外にも、ウクライナ情勢、円安、世界的なインフレなどさまざまあるのは事実です。その影響か、大学での短期留学の出願数が今年は1年生が少ない理由として、在学中にいつ行くのが正解か静観しているのでは?と鳥山氏は話していました。

また筆者は、多くの高校や大学が短期派遣留学の再開に踏み切れない要因は、帰国の際の日本の水際対策も関係しているのでは?と考えます。

現在の水際対策として、帰国72時間前までにPCR検査を受け、医療機関の検査証明書の提出が求められることにより、万が一陽性となった場合、先生や職員が付き添わなくてはいけません。人員確保や学業スケジュールへの影響を考慮して再開に踏み出せないと、筆者も学校関係者からの話をよく耳にします。

中長期留学については、かなり再開する傾向が強まってきているようですが、短期留学だけは日本の水際対策が緩和されるのを待っている状況と言えるでしょう。

留学は必ず復活する

このような不安要素はありつつも、留学は必ず復活するというのは、JAOSの星野氏の見解です。

「確かに、マイナス要素により一定の影響はあるかもしれないが、グローバル化の流れは止めることはできない。それらを凌駕するくらい海外に目を向けている学生や保護者は存在していて、その気運も醸成されつつある。 過去を振り返ると3.11の際も、その年の留学者数は落ち込んだが、翌年は以前よりもさらに増加した。その辺りからグローバル化の流れは一般の人にも浸透し、それは現在も続いている」と話します。

星野氏の見解に筆者もまったく同意見です。

現在、海外留学に参加している学生からは、続々と留学生活を謳歌している様子がSNSにアップされています。

2022年度はコロナ後の留学復活の年として、記録に残るのではないかと筆者は考えます。

大川 彰一 留学ソムリエ 代表取締役

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おおかわ しょういち / Shoichi Okawa

日本認定留学カウンセラー協会幹事、TAFE Queensland駐日代表。1970年京都市生まれ。セールス&マーケティングに約10年間携わり、カナダに渡航。帰国後、留学カウンセラーとして4年間で約1000名以上の留学やワーキングホリデーに関わる。その後、米国の教育系NPOのアジア統括ディレクターとして約6年間、グローバル人材育成に尽力。海外インターンシップを大学の単位認定科目としての導入に成功、東北復興プロジェクト、アジアの国際協力プログラム開発にも携わる。現在は「留学ソムリエ®︎」として国際教育事業コンサルティングや留学の情報を発信。留学ソムリエの詳細はHPFacebookから。著書に『オトナ留学のススメ』(辰巳出版)。

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