羽生結弦のプロ転向会見に見た圧倒的な人間の幅 揺るぎない自負と「つらさや弱さをさらけ出す」強さ

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ここでの注目は、まだ今後の活動について具体的なことは決まっていないにもかかわらず、「決意や希望に満ちあふれたもの」「胸張って言える」と言い切る強さを見せたこと。常に謙虚な振る舞いをする一方、「この点に関しては譲れない」という強気の一面を見せて、人間性の幅を感じさせていたのです。

とりわけ強い意志を感じさせたのは、競技会への出場に関するコメント。羽生選手は「これから競技会に出るつもりはないです。競技会に対して、結果というものに対して、『取るべきものは取れたな』と思っていますし、『そこに対する評価をもう求めなくなってしまったのかな』という気持ちもあります」とはっきり語りました。

記者から称えられるのではなく、自ら『取るべきものは取れた』と口にすることで「だから次のステージへポジティブに進んで行くんだ」というメッセージ性を感じさせましたし、それこそが会見の趣旨だったのではないでしょうか。

そんなプライドは「“引退”という言葉があまり好きじゃないので使いたくないんですけど」という些細なフレーズにも表れていました。また、会見後に出演した「報道ステーション」(テレビ朝日系)でも「もともと全然休んでいないんです。昨日も遅くまで練習していましたし」「ここからさらにさらにうまくなるんで」などとポジティブな言葉を重ねたことからも強烈な自負がうかがえました。

これらの言葉は、芸術性を追求しながらも、得点や勝敗にもこだわり続けてきたフィギュアスケーターならではの矜持と言ってもいいのではないでしょうか。

決意表明でありファンへの挑戦状

もう1つ羽生選手の強烈な自負が表れていたのは、「今後、競技会の緊張感が恋しくなるようなことはないか?」という質問への受け答え。

羽生選手は、「やっぱりみなさんが好きな、みなさんが応援したくなるような羽生結弦って、挑戦し続ける姿であったりとか、あの独特な緊張感があったりとか、そういった中での演技だと僕は思っているので、そういうものをまた感じていただけるような。みなさんが『ああ競技者じゃなくなったから、何か気緩むな~』みたいな感じで見られるようなスケートじゃなくて、より毎回毎回緊張できるような。本当に全力でやってるからこその緊張感みたいなものをまた味わっていただけるようなスケートを常にしたいと思っています」とコメントしました。

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