医者でさえ「7割が生活習慣病」に陥る科学的理由 「糖」は脳にとって特別で中毒性が非常に高い

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岐阜県保険医協会の報告では、2008年から2017年の間に同協会を死亡退会した医者の平均死亡年齢は70.8歳だったそうです。今の日本人全体の平均寿命を考えると、明らかに低いですよね。しかも、年代別で見ると、60代で死亡した人が3割強で最も多かったそうです。これは岐阜県での報告ですが、他の県でも同じようなことが報告されています。

どうして、健康のエキスパートで知識をもっているはずの医者が短命になりやすいのでしょうか。その背景には過労やストレス、うつ(開業医の4人に1人がうつ状態という調査結果もある)などいろいろありますが、じつは医者の7割が糖尿病や高血圧、脂質異常症などの何らかの生活習慣病を抱えているとの報告もあります。

医者の不養生とよく言うように、他の人よりもリスクをわかっているはずなのに、自分の生活習慣は顧みない人が多いのでしょう。誰よりも、生活習慣病の怖さも対策もわかっているはずなのに、自分の体は守れていないわけです。

都合の悪い情報に直面すると「正常性バイアス」が働く

どうして頭ではわかっていても、いい生活習慣を選択することは難しいのでしょうか。私は、行動経済学の本を読んでいて、その「なぜ」が理解できました。人間というのは、そもそも不合理な行動を選択してしまう生き物のようです。

ちなみに、行動経済学とは、これまでの経済学に心理学の要素を取り入れたもので、人々の不合理な行動が経済にどのような影響を与えるのかを追究する学問です。

例えば、予期しない事態が起こったときに、自分に都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりして「自分は大丈夫だろう」「まだ大丈夫だろう」などと判断してしまうことを、「正常性バイアス」と呼びます。

バイアスとは、思い込みや情報の偏りなどによる認知の歪みのこと。自分に都合の悪い情報に直面すると、誰しも、大なり小なり正常性バイアスが働くようにできているようです。

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