医者でさえ「7割が生活習慣病」に陥る科学的理由 「糖」は脳にとって特別で中毒性が非常に高い

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私たちの体は、その新しい食のあり方に全然準備ができていません。ホルモンの分泌にしても、空腹で下がった血糖値を上げるホルモンは複数用意されている一方で、食べすぎて上がった血糖値を直接下げるホルモンは「インスリン」の1種類だけ。飽食の時代に体が追いついていないのです。

だからこそ、私たちは自分たちの体に合った「食べもの」を選択しなければいけません。おいしい食が身の回りにたくさんある時代だからこそ、選ぶことが大事です。

生活習慣に関しては先延ばしする心理が働きがち

食べ物に限らず、健康な人生を送るには「合理的な選択」をしていく必要があります。私たちは大の大人で、仕事などでは合理的に物事を選択しているはずなのに、こと生活習慣に関しては「運動は今度でいいや」「ダイエットは明日からにして、今日は自由に食べよう」などと先延ばしにする心理が働きがちです。

誰もが生活習慣病になりたくないと思っていて、健康に良いことと良くないことが頭ではわかっているはずなのに、好きなものを好きなだけ食べたり、タバコを吸い続けていたり、お酒を飲みすぎたりする人は少なくありません。

診察室で患者さんと話していても、よく不思議に思うのです。企業の社長など、バリバリ働いていて、かなりリテラシーの高い人であっても、「今はまだ大丈夫」「来るべきときがきたら、ちゃんとする」などとおっしゃって、すでに血圧や血糖値、コレステロール値といった数字が上がっていても、何も行動を変えようとしない人がけっこうおられます。

はたしてその「まだ大丈夫」という選択は、仕事で行っているような合理的な判断に基づいたものなのか……。

こうしたことは医者にも当てはまります。むしろ医者のほうが、質(たち)が悪いかもしれません。

私たちがいかに合理的に「食」を選べていないか、ということが垣間見られる報告があります。健康のエキスパートといえば、医者ですよね。ところが、その医者でさえ、不合理な行動を選択しているのです。

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