パチンコ、「倒産」と「リストラ」ドミノの深刻背景 中堅メーカー襲う規制強化、シェア争いの大波

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リストラを断行した大手メーカーは、反撃の機会をうかがっている。

セガサミーは遊技機稼働シェアで2年以内にトップを目指す目標を掲げた。2022年3月期は3位だった。

平和も最新ニーズの把握・分析を強化し、プレーヤー目線のモノづくりを徹底する方針を発表した。「今回、40歳以上59歳以下の従業員を対象に希望退職を実施したが、これはプレーヤーが20代、30代にシフトしてきているため。当社もその年齢層に合わせた体制に変えた」(平和の嶺井勝也社長)。

ただ、セガサミーは成長分野である主力のゲーム事業が好調で、成熟した遊技機事業はむしろ着実な収益獲得期にある。JPモルガン証券の森はるかアナリストは「(セガサミーの)遊技機事業は攻めすぎず、利益水準を維持する戦略に変わった。これは大きな評価ポイント」と指摘する。

平和もゴルフ場運営が堅調だ。セガサミー、平和とも遊技機事業の苦戦を多角化経営でカバーできている。経営状況がより深刻化しうるのが、冒頭の高尾のようにパチンコ一本足打法の中堅メーカーだ。

中堅メーカーに迫るシェア争い

例えば、東証スタンダード上場の中堅メーカー・藤商事。2022年3月末時点で自己資本比率80%と財務水準は良好で、ライトノベル原作の大型タイトル「Pとある魔術の禁書目録」の人気シリーズ化に成功した。一方で、「リング」などホラー系の看板シリーズが軒並み低迷し、2020年や2022年は最終赤字に転落した(いずれも3月期)。

2016年からは新規事業としてスマホゲームを計3本発表し、収益化を目指し4本目の開発を進めていたが、2020年に事業を断念した。

今山武成社長は2022年5月に開かれた決算説明会で、「基本的に人を切るという考え方は、創業家からも(避けるよう)強く言われており、私自身も考えていない」と明言したが、大手メーカーとのシェア争いは一層の激化が見込まれ、業況は予断を許さない。

看板タイトル頼りで生き残れる市況は終わりを迎えた。製販一体となってニーズの変化にアンテナを張ることができなければ、縮小するパチンコ市場で生き残ることは難しくなりそうだ。

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森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケティング、アニメ・出版業界を担当。過去の担当特集は「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」「マイクロソフト AI革命の深層」「CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地」「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」など。

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