パチンコの「MAX機」は一体何がまずかったのか 全国に違法機があふれかえってしまった事情
パチンコ業界はよく「20兆円産業」だとか「30兆円産業」というように言われる。実際、パチンコ業界の2016年の売り上げ規模は21兆6260億円とされている。それでも最盛期の2005年の34兆8620億円に比べれば大幅に落ち込んでおり、直近では規制強化の影響で18兆円規模まで売り上げが縮小したとも言われている。
拙著『パチンコ利権 ー 瀕死の業界に未来はあるのか? ー』でも詳しく解説しているように要因はいくつか挙げられるが、パチンコはギャンブル性の高さが問題視されることが多く、それを牽制するための行政からのさまざまな規制が市場縮小につながったことは間違いない。
パチンコ業界はその都度、規制の目をかいくぐり、そしてパチンコ業界の監督官庁である警察庁は行政講話などで「これ以上ギャンブル性の高い機種に頼るのはやめて、ギャンブル依存症問題に向き合え」というメッセージを重ねて出してきた。
パチンコのギャンブル性の度合はどう測るのか
しかしながら、パチンコメーカーは警察のこのたびたびの警告に聞く耳を持たず、むしろ「MAX機」と呼ばれる規制上許される限界までギャンブル性を高めた機種の販売を強化するようになる。
「MAX機」とは、文字どおり規制上許される最大限(MAX)までギャンブル性を高めた機械である。2011年頃に登場した。ここで「ギャンブル性」という言葉を使ったわけだが(実際には違法だったのだが)、この意味するところは実のところ曖昧なので、少しはっきりさせておこう。
賭博とは「お金や品物を偶然の勝負の勝ち負けで得たり失ったりすること」なので、「ギャンブル性」というものを考えたときに、決められた時間でより多くの金銭的価値のあるものを賭けて、より多くのものを得られるゲームが「ギャンブル性が高い」と定義づけることができるだろう。
例えば1時間で1000円賭けて2000円儲かる可能性がある勝負よりも、1時間で1万円賭けて2万円儲かる可能性があるようなゲームのほうが「ギャンブル性が高い」ということだが、これに異論を唱える人は少ないだろう。ここで掘り下げて考えることは「パチンコの場合、どのようにこうしたギャンブル性の度合いを測るべきなのか」ということである。
1つ目は「大当たり確率」である。大当たりをする確率が低ければ低いほど、「ハズレ」として無為に消費する玉が増える確率が高まるので、負けた分の玉がパチンコ台にたまっていくことになる。
一方、大当たりの継続率を高くすれば、大当たりが連続することで放出できる出玉の数も大きくなるので、大当たり確率が低ければ低いほど勝ち負けの金額は傾向として大きくなることになる。いわゆる「(勝ち負けの)波が荒く」なるのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら