パチンコ、「倒産」と「リストラ」ドミノの深刻背景 中堅メーカー襲う規制強化、シェア争いの大波
相次ぐ経営不振のきっかけとなったのが、2018年2月の規制強化だ。2016年にカジノ法案が成立したことに伴い、警察庁は遊技機における出玉数規制の上限を引き下げた。政府としてギャンブルなどへの依存症対策の強化を求められ、それを果たす狙いがあった。
これに対し、メーカー各社は「(規制に)ぎりぎりの性能で開発し、(新しい規制への)適合を狙ってきた」(大手メーカー幹部)が、規制強化前と同様にホールの投資意欲をそそるような機械はなかなか現れなかった。
そこに追い打ちをかけたのがコロナ禍だった。2020年に健康増進法が施行され、ホール内が原則禁煙となったこともあって、ホールの客離れは急加速した。2020年度、それぞれの業界団体が把握しているパチンコの新台数は、2012年度比61%減の92万台。パチスロも同74%減の26万台まで落ち込んだ。
ユーザー目線に欠けた新機種開発
各社が苦戦する背景には、それまで看板タイトルであれば台数を稼げた市場環境に気が緩み、「新機種の開発部隊からユーザー目線が抜け落ちていた」という指摘も上がる。
ある大手メーカーの関係者は、自社の看板タイトルの不振について「(演出などが)王道でわかりやすく、老若男女問わず打てる機械だったのに、開発者が凝りすぎてユーザーの心を射止められなかった」と明かす。
市場トレンドの変化をしっかり追いかけられていなかったという声も少なくない。「まったく開発が台を打ってないとは思わないが、昔の開発者のように、財布がすっからかんになるほど遊んでいるかどうか。ここが、沼にはまるほど面白いヒット作になるか否かを分ける」(大手メーカーの関係者)。
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