米国が懸念する「安倍氏亡き後の日本」の凋落 安倍氏の海外での評価の高さが日本の重荷に?

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安倍氏が日本の政治から消えたことでアメリカの識者が危険だとおそれる瞬間が見えてくる。同氏の暗殺は、ヨーロッパが戦争状態にあり、中国が挑戦的な態度を見せ、アメリカの政治と信頼への疑問が生まれる中、日本の未来に対する信頼を揺るがしかねないのだ。

「日本のリーダーたちは自国の進む方法が2つあるだろうと感じ取っている。日本は理性を保ち、落ち着いて国家戦略を調整する。もしくは、トランプのような行動に出て不安と懸念を煽り、ポピュリズム支持を扇動することもありえる」とカーティス氏は話す。

防衛費の急激な増額や、安倍の死去を利用し、かねてからの目標だった戦争の放棄を謳う日本国憲法の改訂を素早く推し進めることが政治的に現実味を帯びているのだ。

安倍氏の後継者は今のところいない

しかし、今回のテロ行為が日本の社会心理に与える影響はまったくわからず、アメリカの識者らもそれに同意する。MITのサミュエルズ氏は、「私は今回の暗殺が日本を軌道から外すようなことは心配していない」と話す。

さらに重要なこととして、自民党内で最大派閥の長としても、愛国主義右派支持者としても、安倍氏の後継者、もしくはそうなれる準備ができた人物はいない。

「自民党には大きな権力空白が生じている」と、安倍氏の伝記本の著者のハリス氏は言う。「安倍派は安倍氏不在で生き残れるのだろうか」。

現時点で明らかな後継者はいない。安倍氏が率いた非公式な党内右派の先頭に立つ者もいない。安倍氏は、派閥のリーダーやイデオロギーの代表者としての役割と、政治家としての役割を兼ね備えることができ、そのことが同氏に強大な権力を与えたのだ。これに匹敵する人物などいるだろうか。

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