アメリカの銀行破綻はG7世界体制崩壊につながる ドルの凋落と金の復活、アジア、アフリカの復興を呼ぶ

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ドルの地位が揺らいでいる。ロシア・ルーブルや中国・人民元の影響力が増し、金も再び注目されている(写真・2017 Bloomberg Finance LP)

2008年のリーマンショック以来となるアメリカの銀行の破綻が起きた。その後にアメリカの100以上の銀行の危機が伝えられ、なおかつそれがスイスのクレディ・スイスに波及し、破綻を引き起こし、今ではドイツ銀行も危機だと伝えられている。

人々は、これがリーマンショック以来の世界恐慌になるのではないかと、危惧している状況だ。もちろん、アメリカのバイデン大統領はすぐに信用不安を取り除く発言を行い、イエレン財務長官も不安の除去に躍起となっている。

さて、今回の出来事は次の点でリーマンショックとまったく違っている。それは、バブルの破綻といういわば自業自得の問題ではなく、その背景にアメリカのドルの価値低下と、アメリカの国債の信用低下が関連している点である。

ドル基軸体制の危機

信用不安の大きな理由は、アメリカという戦後経済を支えてきたドルを基軸とする世界システムが危機に瀕していることにある。

戦後経済体制は、1944年のブレトンウッズ体制で始まった。ドルを基軸通貨としたIMF(国際通貨基金)体制は、強い経済力をもつアメリカと圧倒的に多くの「金」を持つアメリカによる支配体制でもあった。

1国の通貨ではなく、どの国のものでもない客観的通貨を作ろうとするケインズ案は葬り去られ、アメリカという国家の通貨を基準とした国際通貨システムができあがったのだ。それは、当時のアメリカの圧倒的経済力からすれば当然のものであった。

人類の歴史は、獲得した富を貨幣によってどう維持し、発展させるかで悩んできた歴史といってよい。資本主義の根幹こそ、この貨幣の探求なのだが、その貨幣となるものの価値が安定していないのだ。結局、人類は歴史的に金や銀といった産出量が限られていて、世界中の誰もが認める金属を貨幣だと考えるしかなかった。

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