米紙「安倍氏は戦後日本で最も変革的な政治家」 政治的地殻変動なくても影響力は永久的に続く
マサチューセッツ工科大学国際研究所長で、日本の軍事・情報能力に関する著書のあるリチャード・サミュエルズ氏は、「強硬なナショナリストという評判の安倍氏が政権に付いた時、これからどうなるだろうと思った」と語る。
「どうなったかというと、同氏は日本の力の限界を知る実利的な現実主義者で、中国の台頭に単独では対抗できないことがわかっていた。そこで同氏は新しいシステムを設計したのだ」
タブー視されていた核共有も主張
安倍氏は今年のロシアによるウクライナ侵攻の時点ではすでに首相の地位から離れていたが、国内での影響力は保持していた。10週間の逡巡の後、日本はロシア産の石炭・石油の輸入を段階的に停止すると発表したが、安倍氏の立場ははるかに先鋭で、日本がアメリカとの間に核共有の協定を結ぶべき時だと主張した。これは、兵器の保有に関して議論することさえ長年タブー視されてきた日本社会の状況を、大きく変えるものだった。
戦後アメリカによって書かれた日本国憲法にまでさかのぼる、日本の独自の戦力保有への抑止を緩めようとした安倍氏の努力は、日本はこれまで以上に同盟国を必要としているという認識に基づいている。
同盟関係には、双方向の防衛コミットメントが必要である。中国の脅威が高まり、北朝鮮がミサイルを日本海に発射し続ける中で、安倍氏はアメリカとの関係を維持することが必要だと考え、トランプ氏が大統領に選出された後、金めっきのゴルフクラブをトランプタワーに届けさせることまでした。