米紙「安倍氏は戦後日本で最も変革的な政治家」 政治的地殻変動なくても影響力は永久的に続く
「安倍元首相が行ったことは、日本の国家安全保障の在り方を変えたことだ」 ジョージ・W・ブッシュ政権の元高官で、安倍氏と頻繁に関わったマイケル・J・グリーン氏は、こう述べる。
グリーン氏の著書「Line of Advantage: Japan's Grand Strategy in the Era of Abe Shinzo(強みの流れ:安倍晋三政権時代における日本の大規模戦略)」 の中で、アジアで脅威を増している中国に対抗するために、欧米を後押ししたのは、安倍氏であったと論じている。
「安倍氏が首相に選出されたのは、ことあるごとに日本は中国から屈辱的な扱いを受けているという認識が、国内にあったからだ」とグリーン氏は言う。オーストラリア、インド、日本、アメリカの4カ国による戦略的安全保障会議の枠組みであるクワッドの発足を提唱したのは安倍氏であり、現在では、バイデン大統領もクワッドを容認している。
オバマ元大統領は安倍氏を警戒していたが…
安倍氏は、自分のやり方を通すために、粗野な政治的戦略をとることを、もちろんいとわなかった。日本は戦争犯罪について十分な謝罪をしてきたとして、2013年には、日本の戦没者(戦犯を含む)を祀る靖国神社を参拝した。
1950年代後半に首相になる前には、戦犯被疑者であった安倍氏の祖父は、靖国神社に祀られている人たちの中に含まれている。安倍氏の父親は保守派の外務相で、日本の産業政策を統括する通商産業相(当時)も務めた。
2012年、安倍氏が首相に返り咲いた時、バラク・オバマ元大統領の側近は、安倍氏があまりにもタカ派であることを心配したが、時が経つにつれ、安倍氏に好意的になった。オバマ氏と安倍氏は、アメリカが初めて原爆を投下した広島を訪れ、政治的リスクの高い献花式を行った。
トランプ氏が当選すると、安倍氏は即座に動いた。金メッキを施したゴルフクラブを携えてトランプタワーに現れたほか、メラニア・トランプ大統領夫人の誕生日を祝うためにフロリダのマー・ア・ラゴに赴いた。