ただし、物事はすべて「原因と結果」の世界でまわる。あおり運転は前述した一例のとおり、結果だ。その原因がどこにあり、どうすればその原因が周囲の車で共有できて腹落ちする/できるのか、この過程の究明に終息への一形態があるように思う。
では、こうしたあおり/あおられ運転に対して道路事業者はどんな対応をとっているのだろうか。たとえばNEXCO各社では、数年前から「高速道路マナーガイド」「あおり運転防止への取り組み」といった項目を自社サイト内に立ち上げて積極的な啓発を行っている。
筆者が感心したのはNEXCO東日本がとった「気づき作戦」だ。あおり/あおられ運転の双方に対して平等に、マナーやルールの徹底を促している。キーワードは双方で平等。
具体的にはSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)などに掲示された「STOP!オラオラあおり運転」のイラストポスターの横に、同じテイストのイラストを用い「STOP!ずっと追越車線走行」を掲げた。これにより、あおり/あおられ運転の可能性が高まる両当事者に、危険な状態から遠ざかるための運転環境を示したのだ。
両成敗的な議論では相互理解にたどり着けない
あおり/あおられ運転に対し、「どっちもどっち、両者が悪い」という世論がある。確かにおっしゃるとおりで感情的にはそう片付けたい。でも、こうした両成敗的な議論に落とし込むと、理想的な着地点である相互理解にはたどり着けない。「あおり」からの「あおられ」があれば、「あおられ」からの「あおり」もあるという、双方向かつ両側面から解決の糸口を探るのが望ましいと筆者は考える。
あおり運転の原因をなくしていけば、あおられ運転の可能性が消滅する。同様に、あおられ運転の原因をなくしていけば、あおり運転の可能性は遠のく。「タマゴが先か、ニワトリが先か」のようであり、禅問答だが交通工学上からすると紛れもない事実である。
本連載の第2回目はあおり/あおられ運転を遠ざける運転方法について考えてみたい。
第2回:あおり運転に怒り覚える人に知ってほしい対処法(7月13日配信)
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