あおり運転「あおられる側」が意外と知らない事実 是正ポイントがなかなか浮き彫りにならない理由

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しかし、真逆の発想も浮かぶ。接近されたAのドライバーが、後方から迫るBをルームミラーやドアミラーで確認している際、意識がそちらに向かったことから無意識にアクセルペダルを踏む力が少し弱まった……、となればどうなるか。

Bにあおりの意図がなく、Aとの適切な車間を保つため一定距離のまま車速を保っていても、Aが減速するため結果的に車間が狭まり、あおり運転の構図となる。登坂路であればなおさら速度は落ちるからBは接近しやすい。こうなると“疑似的あおり運転”のスパイラルに陥る。

とある動画投稿サイトに「あおり運転の瞬間」といった趣旨の衝撃的なタイトルのもと、自車後方に設置したドライブレコーダー映像の投稿があった。その映像は後続車の接近場面から始まっている。よって、この映像だけを見れば不届き千万、あおり運転のように見える。少なくとも筆者はそう感じた。

落ち着いて2度、3度と見返してみた。すると、後続車が画面上で大きくなる(迫ってくる)に従い、あおられたとする車両の車速が落ちている。これは映像下部に車速が記録されていたことからわかった。

投稿された映像だけでは事実が明らかになりにくい

なぜ車速が落ちたのか、前述のようにルームミラーに映る後続車に気を取られたのかもしれないし、あおられたとする車両の前走車が交通混雑によりブレーキを踏んだ、もしくは速度を落としたのかもしれない。いずれにしろ、そこには恣意的でない正当な理由があるはずだ。

つまり、映像は場面の切り取り方でいかようにも判断されてしまうし、投稿された映像だけでは事実が明らかにならないことが多い。ここがあおり/あおられ運転の是正ポイントが、なかなか浮き彫りにならない理由の1つだ。

改めて、意図的なあおり運転は絶対にNGだ。公道は速さや腕前を競うサーキットではないからだ。2年前の2020年6月30日に「あおり運転」を取り締まる「妨害運転罪」が創設された。違反1回で免許取消処分となり、最長5年懲役刑や罰金など厳しい罰則が科される。また、どんなに急ぐ理由があるにせよ、混合交通下では思いがけない大事故を引き寄せる。

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