昨今、「あおり運転」が話題になることが増えた。ほかの車両の通行を妨害し、重大な交通事故にもつながる危険な行為だ。あおり運転をめぐるトラブルで死亡事故につながった痛ましいケースもある。誰しもクルマを運転していたら、なんらかのあおり運転に遭遇したことはあるだろう。なぜ、あおり運転が起こるのか。どうしてなくならないのか。どうすればいいのか。全3回の短期集中連載としてこの問題を取り上げたい。
あおり運転の様子は動画投稿サイトやSNSにも掲載されることが多く、ドライブレコーダーの映像とともに危険な行為や運転者同士のトラブルなどの様子を連日のように流しているテレビの情報番組もある。
極度にあおられた車両のドライバーはいずれも恐怖を感じたという。一方で、あおり運転のメカニズムを捉えると、あおられ運転という逆の事象も見受けられる。
読者の皆さんがそうであるように、ステアリングを握った瞬間から悪意をもって、もしくは意図的に、「あおり/あおられ運転」をするドライバーはいないはずだ。性善説ですべてをまとめることはできないが、終始、自分勝手に運転するドライバーやライダーは稀有な存在であるはずだ。
ではこの、あおり/あおられ運転、どうしたら終息を迎えるのか、2輪、乗用車、大型車(トラック&バス)に乗る交通コメンテーターなりに考えてみた。
あおり/あおられ運転は昭和の時代からの社会問題
そもそも、あおり/あおられ運転は今に始まったことではない。昭和の時代にもたくさんあった。筆者が運転免許証を取得した34年前もそうだったし、1955年当時の通産省がいわゆる「国民車構想」をうたいだした頃には社会問題化していた。
あおり/あおられ運転の概要はすでに浸透しているとおりだ。自車Aの後方から速度差のある他車Bが接近したとする。すると、ほどなくしてAの背後にBが追いつく。
このときほとんどの場合は、AがBの存在に気がつくまで、もしくは進路を譲るタイミングになるまでBが適切な車間距離を保ったまま走れば道路交通法第1条に明文化されている「円滑な交通」が成立する。しかしここで、執拗にAへと接近すれば、Bは意図的なあおり運転の首謀者になる。
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