あおり運転にはこの無料ドラレコアプリが効く AIがナンバーや人、車間距離まで判断する

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走行データをスマホカメラが撮影し、AIが車間距離を測定する(写真:ニューラルポケット)

運転中に車間距離を知らせたり、自転車や人が近づくと検知してアラートが鳴り出す──。交通事故防止にはドライブレコーダー(ドラレコ)の搭載が有効だ。しかし実際の利用率は32.1%にとどまっており、55%超が意欲はあるのに搭載していない(2019年10月、ソニー損保調べ)。

搭載率が低いのは、1台2万~3万円という価格にある。とりあえず使ってみたいなら、無料のスマートフォンアプリという選択肢がある。複数ある中で、2019年12月5日、世界初となるAI(人工知能)搭載のドラレコアプリ「スマートくん」をリリースしたのが、AIベンチャーのニューラルポケットだ。

使い方はシンプル。アプリをダウンロードしたスマホを、運転席に設置した市販のスタンドで固定するだけ。現在はiOSのみの対応だが、2020年に向けてAndroid対応も予定している。iPhone8まで動作を確認しており、使い古しの端末をドラレコに転用することもできる。

AI搭載では何がスゴいのか

難点は一方向しか録画できないこと。社会問題化している「あおり運転」の対策には、後方や横も録画できる端末が有効だ。とはいえ、普段の運転サポート機能や事故トラブル時の記録なら、前方だけの録画でも十分だろう。後方を録画したいなら、リアガラスに装着することもできる。

既存のドラレコアプリはいくつかあるが、従来はスマホ内のGPSや加速度センサーを使い、急ハンドルや急加速を検知したり、障害物に近づいたら検知する機能にとどまっていた。

これに対しては、AIの画像認識技術を活用することによって「信号や車だけでなく、歩行者やバイク、バス、トラックまで識別できる。GPSデータと組み合わせて、どの場所でどんなトラブルが起きたのかを記録してくれる」と、開発を担当したニューラルポケットの周涵(しゅう・かん)COOは語る。

走行記録はスマホ内のメモリーに運転日時ごとに蓄積されていく。容量がいっぱいになると、自動的に古いデータから消える仕組みとなっている。

AIがリアルタイムに物体を認識する技術は、特別に珍しいものではない。ただし、多くは画像をクラウド上に送信して分析するため、通信料が負担となる。ドラレコが録画する交通情報のデータ量となると膨大だ。スマートくんの場合は「端末内でAIが分析するので通信料は不要。走行データはWi-Fi環境下で転送できる」(周COO)。

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