日本と大きく異なるインドの労働法、雇用時には契約締結を--琴浦 諒弁護士にインタビュー

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また、雇用契約を結ぶ際には、契約書上、「試用期間(probation period)」を設けた方がいいでしょう。インドの法令上、試用期間に関する規定はないのですが、判例上、6カ月程度の試用期間であれば有効性が認められるのが一般的です。インドでは、いったん正規雇用した場合、特にworkmanについては解雇が難しいため、試用期間を設けたうえで、被雇用者に問題があれば正規雇用をしなければよいということになります。

試用期間の設定は、解雇にかかわる紛争を避けるうえで非常に重要です。試用期間であれば、被雇用者側も比較的簡単にあきらめますし、仮に裁判になっても企業側が勝ちやすいと思います。

--採用の時点ではどうですか、進出企業の間では応募者の履歴書のデタラメぶり、職歴や前職給与などの虚偽がよくネタになったりします。

雇用契約書に、「経歴に詐称、虚偽がある場合、雇用契約を解除可能」である旨は規定しておく必要があると思います。確かに、残念ながら履歴書や採用面接で嘘をつくインド人は少なからずいると見られます。

ただそれは日本でもあることでしょうし、米国などでもよくあることだと思います。採用の段階で嘘を100%見破ることは難しいので、嘘だと後から判明した場合に、しかるべく対処ができるような体制を作っておくことが大事だと思います。

■社内労組ができたら負け?

--労働組合(社内、外部ともに)との付き合い方で気をつけるべき点は何ですか?

社内労働組合がある日系企業は少ないですが、まず社内労組を作らせないことが重要です。いったん社内労組ができてしまうと、その後の組合対応がいろいろと難しくなってしまうため、通常の日系企業であれば、社内労組ができた時点で会社側の負けとさえ言えるかもしれません。

--なるほど。社内労組ができたら負け、ですか。

できてしまったら早めに労働協約を締結して、紛争が起きた場合の対応や、ストライキの場合の取り決めを盛り込み、その後に備えて対応することになります。ただ、やはり社内労組は作らせないことが大事だと思います。

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