岩手県北バス、狭い山道走る「大型バス」の運転技 集落をつなぐ「ハンドルさばき」・宮古市南部編

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岩手県北バス重茂車庫に停車中の石浜行き(筆者撮影)
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三陸鉄道の陸中山田から次の豊間根、払川、津軽石までは重茂(おもえ)半島の根元を横切る山岳区間で並行する国道45号を走る幹線バスも、ほぼ同じルートを通る。

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重茂半島はほぼ宮古市域になり、宮古駅前から山田町との境に近い石浜まで、岩手県北バスの路線がある。

地形が険しい過疎地ゆえ、平日は宮古駅前からの石浜行きは1日3本、同じく途中の里まで行く便が2本のみ。宮古駅前行きは石浜発2本、重茂車庫または里発が3本。他に重茂車庫―石浜間の末端だけ走る便もある。

こうしたローカルバスには珍しく、市の中心部から周辺地域へ向かう形になる、朝8時30分に宮古駅前を出る石浜行きが好都合で、これに乗ることにした。どのような需要があるのか、時刻表からは読み取れない。

前扉だけの大型バス

宮古駅前―山田駅前―田の浜間の幹線系統との分岐点は、津軽石の集落の入り口にある川帳場バス停だ。4月8日、8時50分発の石浜行きを待ち構えることにした。

川帳場バス停に到着する重茂方面石浜行き(筆者撮影)

案に相違して、前扉のみ、リクライニングシートの観光・高速バスタイプの大型バスが石浜行きとして現れたのには少々驚く。かつては盛岡―宮古間の「106急行バス」に使われたものだろうか。私以外に乗客はいない。次のバス停が工業校舎前。元の県立宮古工業高校、いまは宮古商業高校と合併して宮古商工高校の工業校舎となっているところだが、高校生の利用もない。

バスはまず、V字形に切れ込んだ宮古湾の東岸に沿って走る。珍しく波打ち際を行く道で、防潮堤などで遮られない海の眺めが楽しめる。また津波が来たら、ひとたまりもないだろうが、民家がないエリアなのだ。この湾の西側を国道45号が通っている。道路が通じる前は宮古港まで渡船が出ていたそうで、確かにバスはかなり遠回りなルートを走っている。

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