岩手県北バス、狭い山道走る「大型バス」の運転技 集落をつなぐ「ハンドルさばき」・宮古市南部編

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6月8日、ここから先の岩手県北バスを乗り進んだ。先に生活路線と書いたが、浄土ヶ浜ビジターセンターには宮古駅前―鍬ヶ崎―宮古病院前間の系統も1日7.5往復乗り入れており、田老方面へ進める。

浄土ヶ浜ビジターセンターに入る宮古病院行き(筆者撮影)

9時53分発の宮古病院前行きで再スタート。国道45号へ戻り、新興住宅街の佐原団地を経て、10時05分に宮古病院前に着く。時間帯からして通院客ばかり。浄土ヶ浜に立ち寄るのは、ついでのような感じだった。コロナ禍が過ぎ、観光客が戻ってくることを期待したいが、果たしてどうなるか。

総合病院へバス系統が集まり、ターミナルとなっているのは各地で見られる現象だ。利用客層を如実に表している。岩手県北バスも、私が乗ってきた系統以外に、宮古駅前―休暇村宮古、崎山ニュータウン、岩泉小本駅前方面への幹線系統が乗り入れている。

「E5系」カラーのバス

そこへ、東北新幹線「はやぶさ」のE5系と同じ配色のマイクロバスが現れて、少々驚く。うっかりしていたが、東日本交通が運行している廃止されたJR岩泉線の代替バスで、茂市駅前―岩泉病院間を基本的な運転区間とする一方。1日1往復だけ、宮古病院発着便が設定されているのであった。2時間以上も走る長距離系統であるが、需要があるのだ。

宮古病院に着いた岩泉からのバス(筆者撮影)
休暇村宮古近くを走る岩手県北バス(筆者撮影)

こちらは10時22分発の休暇村宮古行きを待つ。海岸の断崖の上に立つ宿泊・入浴施設だが、海へ向かって国道45号から支線のように路線が延び、やはり1日7.5往復の便があるから行かずにはおれない。もっとも、やはり観光で来る人は自家用車利用ばかり。バスは住宅地を一回りするなど、生活路線としての役割が主である。尾根筋を走る一本道の左右に住宅が固まっている。

休暇村宮古10時38分着。宮古病院前からは270円で、Suicaで支払える。乗ってきたバスは2分で折り返してしまうが、さすがにすぐ戻るのはもったいない。次の13時40分発で帰ることにすれば、ゆったり温泉で過ごし、リフレッシュすることもできる。

土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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