一歩前進、東急・京急接続「蒲蒲線」何が決まったか 都と区の「費用負担割合」決着、先はまだ長い
そのユーモラスな呼び名から、一時期話題となった東京都大田区の鉄道新線「蒲蒲(かまかま)線」こと新空港線。JR・東急の蒲田駅と京急蒲田駅の間約800mを結び、東急線と京急空港線を接続して新たな羽田空港アクセス路線とする構想だ。ここ数年目立った動きのなかったこの新線が、実現に向けて一歩前進した。
大田区は6月6日、同線の第1期整備区間となる東急多摩川線・矢口渡駅―京急蒲田駅間の事業費負担割合などについて東京都と合意したと発表した。費用の負担割合は、区と都が長らく協議を続けてきた課題。この合意によって、路線の整備主体となる第三セクター設立に向けた動きが進みだすことになった。
2つの蒲田駅を結ぶ路線構想の発端は1982年にさかのぼる。同区の松原忠義区長は同日の臨時記者会見で、「区の悲願である新空港線の整備について大きな一歩を踏み出した」と語った。
事業費は約1360億円
新空港線、通称「蒲蒲線」は、東急多摩川線の矢口渡駅から東急・JRの蒲田駅、京急蒲田駅を経て京急空港線大鳥居駅の手前で同線に乗り入れる約4kmの新線構想。やや離れた東急・JRと京急の蒲田駅を結んで区内の東西交通分断を解消するとともに、東急東横線・地下鉄副都心線を通じて埼玉方面などから羽田空港へのアクセス向上を図る狙いがある。
第1期整備として、実質的に東急多摩川線の延伸である矢口渡―京急蒲田間の計画が先行しているのは、東急線と京急線の直通には軌間(線路の幅)が異なるなどの課題があるためだ。今回の都と区の協議による試算では、同区間の総事業費は約1360億円。費用は国と地方自治体がそれぞれ全体の3分の1を補助し、残る3分の1は整備主体(三セク)が資金調達してまかなう「都市鉄道等利便増進法」の活用を想定している。
今回都と区が合意したのは、この地方自治体分の負担割合だ。区が7割、都が3割を負担する。
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