岩手県北バス、狭い山道走る「大型バス」の運転技 集落をつなぐ「ハンドルさばき」・宮古市南部編

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宮古駅前は岩手県北バスの一大ターミナルで、106特急・急行バスや東京、仙台方面への高速バスも発着する。眺めているとバスの発着は頻繁で活気があり、面白い。宮古市中心部には、かなり密な岩手県北バスの路線網が広がっている。ただ長距離バス以外、鉄道も含めて、主な利用客はやはり高校生と高齢者ばかりである。

宮古駅前で発車を待つ奥浄土ヶ浜行き(筆者撮影)

次に乗るべきは浄土ヶ浜方面。三陸屈指の観光地で、奥浄土ヶ浜の海岸まで岩手県北バスが通じている。1日6往復あり、宮古駅前からわずか20分、230円。市街地から手近なところに名勝がある。12時10分発(信用金庫前12時13分発)に乗り込んだ。

とはいえ角力浜(すもうはま)までは、市街地を走る生活路線であった。乗り合わせた客も普段着姿ばかり。途中の鍬ヶ崎は宮古港に面した港湾地区で、新しい建物と高い防潮堤が目立つ。ということは津波の直撃を受けている。

今は立派な2車線道路が通っているが、かつて港町の狭い街路を走っていた時代を踏襲してか、路線図によると浄土ヶ浜方面行きと宮古駅前行きとでは運転経路がひと筋違い、バス停名も上りと下りで違っていた。

同じ場所に異なるバス停名

ところが今は一部区間で同じ道路を通るように変わっていた。それゆえ、同じ場所にありながら道の両側に向かい合って「鍬ヶ崎一丁目」と「臨港通り」などと、違う名前のバス停が立つ。珍現象ではあるけれど、震災後の区画整理の結果として生じたようで、あまり笑えない。

奥浄土ヶ浜バス停は海の目の前にある(筆者撮影)

市街地を抜ければ深い森林に覆われた山間部へいきなり入るのが三陸の常。角力浜で最後の地元客が降りると、わずか1分で浄土ヶ浜ビジターセンター着だ。観光の拠点で案内所などがあり、小さなバスターミナルにもなっている。

ここからは一方通行の周遊道路を海岸べりまで降り、レストハウスがある奥浄土ヶ浜へと進む。平日で観光客の姿もまばらだったが、風景はやはり名勝と呼ぶにふさわしい美しさだった。バスは5~10分、折り返しの時間を取るので、ただこの景色を眺めに来るだけでもいい。私も12時30分に到着し、40分発で浄土ヶ浜ビジターセンターまで戻った。7月17日には震災後、なくなっていた遊覧船も復活するとのこと。

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