売春にハマる、最貧困シングルマザーたち 出会い系で生きざるをえないのは、なぜか

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著者は全体を通じて、取材対象と距離を保ち続ける。政治や社会をこき下ろすわけでもなく、彼女たちに同情を誘うような文言を並べるわけでもない。淡々と彼女たちの生活を描写することがむしろ貧困の悲惨を浮き彫りにする。

もちろん、出会い系のシングルマザーは全体から見ればわずかだ。彼女たちをシングルマザーの代表のように論じる気は、著者にも毛頭ない。ただ、ひとりの主婦が不運の連続で出会い系のシングルマザーに転落する現実が陸続きの同じ日本で起きていることをわれわれはどれだけ知っているだろうか。

自分の周囲だけが幸せならよいのか

社会が複層化する中で、自分の周囲での絆は強まっているのかもしれないが、狭い範囲の仲間以外は、まったく人間として感じられない傾向は強まっているのではないか。本書の中でも、若い女性数人が出会い系のシングルマザーの話を著者から聞き、激しくののしっている。「わがままじゃないですか」、「そういう人が子ども産んじゃヤバくね?」。本書は2010年に出版された『出会い系のシングルマザーたち』の文庫版だが、著者はこの数年でのシングルマザーの貧困に対する自己責任論の高まりを懸念する。

本書のあとがきはこう結ばれている。

“出会い系のシングルマザーたち。彼女らは、誰もが容認できる存在ではないかもしれない。だからと言って、彼女たちを、彼女たちの抱える苦しみを放置することは、決して許されることではない。社会福祉とは、公的扶助とは、その当事者が大衆にとって容認の対象であろうとなかろうと、等しく困窮状態にある者を救うべきものだからだ”

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