しかし、ここで多くの読者には、ある疑問が芽生えるだろう。
「感覚的にはわかるけど、『カルチャー』っていったい何?」「『組織風土』とか『組織文化』という言葉もあるけど、それはカルチャーと同じことを意味するのか?」「『社風』なんて言葉もあるが、それは何を指すのか?」──
普段、私たちは「カルチャー」「組織風土」「組織文化」などの似たような言葉を混在させて使っている。定義も曖昧だし、人によって使い方や意味するところもまちまちである。
しかも、これらの概念は目に見えるものではなく、きわめて感覚的かつ抽象的なものである。経営においてなんとなく大事であることを理解しても、どこか雲をつかむような話であり、具体的に何をどうすればいいのかが見えてこない。
「カルチャー」とは健全で良質な「土壌」
カルチャーをたとえて言うなら、組織の「土壌」である。健全で良質な「土壌」がなければ、どんなに種をまいたところで、芽は出ず、植物は育たない。
また、健全で良質な「土壌」をつくるには、「整地化」「肥沃化」という2つの要素が必要だ。
「整地化」とは、土をならし、良好な通気と通水をはかり、雑草や石ころを排除し、植物の成育に適するように整えることである。これは組織に当てはめれば、「組織風土」に該当する。「肥沃化」とは、土壌に十分な栄養素を与え、作物がよく育つように豊かな土地に改良することで、これは「組織文化」に該当する。
つまり、組織風土(整地化)と組織文化(肥沃化)の両方がそろってこそ、健全で良質な「土壌」は実現する。私は「組織風土」と「組織文化」を1つのものとして捉え、それを「カルチャー」と呼ぶことにしたい。すなわち、「カルチャー」とは次のように定義することができる。
不祥事を起こした企業は、この定義の中の「組織風土」に大きな問題を抱えているのだ。
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