GAFAMにあり日本企業にないのは「カルチャー」だ 御社の「組織風土」は問題ありませんか?

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換言すれば、「ケイパビリティ(根っこ)としての現場力」だけでなく、「カルチャー(土壌)としての現場力」という視点で企業の競争力を考えることが求められているのだ。

(出所:『「カルチャー」を経営のど真ん中に据える』)

じつは、「現場力」という概念は二層構造になっている。一般的に認識されている現場力とは「ケイパビリティとしての現場力」である。現場が高い組織能力を有し、主体的に新たな価値を生み出しつづけ、戦略を実行する。まさに、競争優位に直結する現場力である。しかし、それは現場力の一面的な見方にすぎない。

いま多くの日本企業にとって必要なのは、「カルチャーとしての現場力」を刷新することである。土を耕し、肥沃にすることができなければ、強くたくましい根っこは育たない。

「カルチャー(土壌)」が大きく傷んでいるのに、「ケイパビリティ(根っこ)」が高まるはずもない。まずは「健全なカルチャー」を育み、その後に「ケイパビリティ」を高める。時間はかかるかもしれないが、長い道のりを覚悟して、じっくり腰を据えて取り組まなければならない。

日本企業に必要なのは「現場からのカルチャー変革」

ここ数年、私はいくつかの会社で、実際の風土改革、現場力強化のプロジェクトに関わってきた。そこでの共通するキーワードは「現場からのカルチャー変革」である。

上からの指示や命令で動くのではなく、現場自らの意志で動き、判断し、行動し、結果を出す。現場が当事者として主体的に考え、新たなことに挑戦し、小さな成功体験を積み重ねながら、自信と活力を取り戻す。

最初はやる気も見えず、うつむき気味だった現場が、途中から覚醒し、能動的に動き出す瞬間を、私は何度もこの目で見てきた。それは「土壌(カルチャー)」を耕すと同時に、強い「根っこ(ケイパビリティ)」をつくる取り組みでもあった。

日本企業も「カルチャー」がしっかり育てば、とてつもなく大きな「ケイパビリティ」が発揮され、海外の企業に負けないくらいの大きな発展へとつながっていくはずだ。私はそう信じている。

遠藤 功 シナ・コーポレーション代表取締役

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えんどう いさお / Isao Endo

早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。2005年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。

2020年6月末にローランド・ベルガー日本法人会長を退任。7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動。多くの企業のアドバイザー、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。良品計画やSOMPOホールディングス等の社外取締役を務める。

『現場力を鍛える』『見える化』『現場論』『生きている会社、死んでいる会社』『戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法』(以上、東洋経済新報社)などべストセラー著書多数。

 

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