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文芸春秋再生の切り札「法人スペシャルプラン」の波紋、どのような企業が年額1000万円の契約を結んだのか?"法人シフト"が抱える根本課題とは何か?

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文芸春秋の飯窪成幸社長は「日本社会にとって必要な知的インフラであり続けなければならない」と社員に呼びかけている(写真は東京・紀尾井町の文芸春秋本社)

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政治家の不祥事から芸能人のスキャンダルまで、世間を揺るがすスクープを次々と放つ『週刊文春』。その破壊力の大きさから“文春砲”と呼ばれて恐れられる存在だ。
時に完売する号もあるなど売れ行きも好調、さぞや業績も好調なはずーーと思いきや、発行元の文芸春秋が実は4期連続の営業赤字で、50代の社員を対象に20名ほどの人員削減を実施することが東洋経済の取材でわかった。
文芸春秋は非上場の小規模な企業ではあるものの、その報道によって多くの企業、個人の生き方を左右する巨大な影響力を持つ。第3回では彼らが取り組む新事業の生々しい実態についてお届けする。

第1回第2回で示したように、文芸春秋の経営陣は長期にわたって赤字が続く出版事業の止血に取り組んでいる。

そうした中、2025年に入ってから本格的にスタートさせた新事業がある。「法人スペシャルプラン」と呼ばれるものだ。指揮をとるのは、月刊『文芸春秋』や『週刊文春』などを所管する文芸春秋総局の担当取締役である新谷学氏。『週刊文春』編集長時代に数々のスクープを指揮し、「文春砲」の立役者となった人物だ、その新谷氏が自ら先頭に立って多くの企業に出向き、営業に当たっている期待のビジネスである。

急伸する「1000万円プラン」

文芸春秋と契約した複数の企業担当者の手元にある営業用プレゼンテーション資料によると、その中身は以下のようなものだ。

文芸春秋が企業に配っている「法人スペシャルプラン」の営業資料

(1)各界の識者、『週刊文春』編集長経験者などを講師とする特別セミナーを年1回開催

(2)『文芸春秋』電子版(文芸春秋PLUS)と『週刊文春』電子版が読み放題のアカウントを100程度提供するサブスクリプションサービス

(3)『文芸春秋』電子版(文芸春秋PLUS)でのオンライン番組(タイアップ動画広告)配信

(4)『週刊文春』電子版におけるタイアップ記事掲載

最大の価値として訴求しているのは、文芸春秋PLUS編集部がYouTubeで配信するタイアップ動画広告である。

また特別セミナーのテーマとして例示されているのは新谷氏「混迷極める政界の内幕」、北村滋氏(元国家安全保障局長)「経済安全保障の要諦」、垂秀夫氏(前中国大使)「中国ビジネスの光と闇」、『週刊文春』編集長経験者による「報道対応の極意」といったものだ。企業の要望に応じて「あの記事の裏側」といった内容も用意するとしている。

こうしたサービスの対価は、「特別価格」と銘打つ税抜き1000万円。ある契約企業の担当者は「もちろん値切ったし、自社向けのカスタマイズもお願いした」と話す。特別な条件をつけて、1000万円を大きく超える金額で契約したケースもある。

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