子の「わけのわからない大泣き」の謎を解くカギ 子どもがやる「イタズラ」には必ず理由がある
貴重な「敏感期」
モンテッソーリ教育では、わが子を観察してその成長段階を知り、行動を見て環境を整えてあげるのが大切なことだと前述しました。わが子の成長段階を知る=予習をしていくうえでもっとも重要なのが「敏感期」です。
「敏感期」とは、子どもが何かに強く興味をもち、集中して同じことを繰り返す限定された時期。マリア・モンテッソーリは「保護者や教師が、子どもの敏感期を見落とすことは、終バスに乗り遅れるようなものだ」と言っています。要は、敏感期は過ぎてしまうと2度とやってこないということなのです。だからこそ予習が必要で、通り過ぎてから復習や反省をしてもあとの祭りなのです。
敏感期にはたくさんの種類があります。0~6歳までの間に、9種類の敏感期があらわれては消えていきます。しかも敏感期は順番にやってくるのではなく、波状的に重なって関わり合いながら到来します。そして子どもによってその深さが大きく違ってきます。
敏感期には、必ず始まりがあって終わりがあります。敏感期が終わると、自分でやりたいという衝動が少なくなり、同じことをしても喜びを感じなくなっていきます。
乳幼児期の前半である0~3歳は、歩くこと自体に楽しみを覚える時期。これが運動の敏感期。だから歩きたくて歩きたくてしょうがないのです。これは6歳ごろまで続きます。この時期にたくさん歩かせることによって、体幹がしっかりしてくる。体幹がしっかりしてくると、脳が発達する。
人間は脳が発達したから手指が繊細に動くようになったと勘違いしがちですが、大間違いです。手指が動くことによって脳が発達し、今の人間がある。だからモンテッソーリ教育の活動は、すべて手指を動かします。
しかし残念ながら、今の日本社会は手指を動かすことが減りました。昔はぞうきんを絞ったり、コマを回したり、縫い物をしたりしました。でも今は、ゲームやスマホの時間が大半ですね。