「オビ=ワン・ケノービ」は動画配信時代の名作か 映画館で復活せず「スター・ウォーズ」の価値

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アメリカで最も信頼されるレビューサイトのひとつ「Rotten Tomatoes(ロッテン・トマト)」では低評価からスタートする苦しい戦いも見られました。期待値の高さゆえの反動もあるでしょうが、序盤戦の勢いが足りなかったことは否めません。要因として考えられるのは、当初は劇場映画の企画だったという話に関係していそうです。配信オリジナルドラマの企画に変わったことで単純に全体の尺が伸びます。話の伸ばし方次第で深みは増すものの、“伸ばした”という印象が特に序盤戦に色濃く出てしまったのではないでしょうか。終盤戦から本作の価値が発揮されている分、余計に勿体なく思えます。

なぜDisney+オリジナルとして作られた?

また、なぜDisney+オリジナルとして作られたのかという疑問も残ります。この答えはDisney+に資源を集中するディズニーの経営戦略にあります。ディズニーは動画配信サービスのDisney+を開始した時からスター・ウォーズブランドを大事にしていました。結果、スピンオフ作品の「マンダロリアン」は稼ぎ頭となり、「オビ=ワン・ケノービ」はそれらの流れを汲んで、実現した背景があります。

ダース・ベイダーの声役、ジェームズ・アール・ジョーンズも再演(写真:(C)2022 Lucasfilm Ltd.)

ディズニー公式ツイッターアカウントによると、「オビ=ワン・ケノービ」の第1と2話が配信開始された5月27日の週末はこれまでのDisney+作品の中で、史上最高の視聴記録を更新したとのこと。ニールセンの調査では5月27日から29日までの3日間、アメリカのみでテレビ視聴(モバイルデバイス除く)計測分数が10億分に達したこともわかりました。なお、同日公開のNetflixオリジナルドラマシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界 4」は同様の調査、期間で40億分を記録しています。話数の違いがあることから単純に比較はできませんが、「オビ=ワン・ケノービ」にも視聴が集中した週末になったというわけです。

ライバル作品あり、大人の事情もあり、「オビ=ワン・ケノービ」に向けられる目は厳しくもありますが、数あるスター・ウォーズのスピンオフ作品とは一線を画すものであることに変わりはありません。続編があるのかどうか、まだ明らかになっていませんが、フォースと共にあれ……。

長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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