「オビ=ワン・ケノービ」は動画配信時代の名作か 映画館で復活せず「スター・ウォーズ」の価値

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10歳のレイア姫を演じるヴィヴィアン・ライラ・ブレアの演技はキャリー・フィッシャーが演じたレイア姫を思い起こさせる(写真:(C)2022 Lucasfilm Ltd.)

そもそも “スカイウォーカー・サーガ”の神話に深みを持たせることが本作最大の狙いでしょう。実際にスカイウォーカー一家のすべてを知るオビ=ワンという人物像を深掘りすることで、ダース・ベイダー、ルーク・スカイウォーカー、レイア・オーガナ姫それぞれの運命の受け止め方が色濃く見えてきます。ライトセーバーアクションはもちろん見どころにありますが、スター・ウォーズは家族としての話に深みがあったことを思い出させてもくれます。登場人物の心の動きをじっくりと時間をかけて描く。人間ドラマに重きを置いた作品と言えます。

それは、監督のデボラ・チョウが配信前の5月19日に一部のプレス向けに開催されたカンファレンスで「『オビ=ワン・ケノービ』はキャラクター主導型の作品」と発言したことからも裏付けることができます。

ダース・ベイダー部下の新キャラにも注目

その反面、序盤戦は焦れったく感じるかもしれません。主役のオビ=ワンより10歳のレイア姫が目立って見えるのは、登場した瞬間からキャリー・フィッシャーが演じたあのレイア姫を思い起こさせる天才子役ヴィヴィアン・ライラ・ブレアの演技が光りまくっているという理由だけではなさそうです。レイア姫の冒険物語のような展開が少々続きます。

新しい悪役キャラクター、サード・シスターこと尋問官リーヴァを演じたモーゼス・イングラムにも注目が集まる(写真:(C)2022 Lucasfilm Ltd.)

ダース・ベイダー部下役として登場する新しい悪役キャラクター、サード・シスターこと尋問官リーヴァの描き方も至って丁寧です。怒りを抱えて事態をややこしくさせる、こじらせ女子のようにも見えますが、気になる存在へと昇華させています。演じたモーゼス・イングラムに対して、一部の視聴者から人種差別的な中傷発言が起こったことは非常に残念な点です。

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