スポーツ庁はあるのに、そういや音楽庁がない訳 業界として成長したか立ち後れたかの差はどこ?

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音楽とスポーツの間にある大きな「格差」とは?(写真:Ryuji/PIXTA)
大学全入時代にあって、音楽大学は異常ともいえる学生減に見舞われています。その背景にあるのは?
銀行支店長から音楽大学教授へ転じた異色のキャリアを持つ大内孝夫氏の著書『音大崩壊~音楽教育を救うたった2つのアプローチ~』より一部抜粋、再構成してお届けします。

音楽とスポーツの予算規模

音楽とスポーツは、どちらも人の生活に欠かせないものですが、実は日本の中では位置づけが大きく違います。

たとえばオリンピックを含め、スポーツには政府からの潤沢な予算がつきますが、音楽は微々たるものです。

たとえば「レジャー白書2020」(日本生産性本部)や2021年度の「わが国スポーツ産業の経済規模推計」(スポーツ庁・経済産業省監修)などを見てみると、音楽につく国家予算が220億円であるのに対し、スポーツは約600億円。産業としての市場規模も、音楽は5500億円、スポーツは8兆7000億円と大きな差があります。

これは昔からそうだったかというと、決してそうではありません。

日本の初等教育から高等教育の公的支出のGDPに占める割合は4.0%で、OECD37カ国中最下位から8番目という不名誉な水準にあるなか、スポーツは予算獲得に向けて積極的に取り組み、成果をあげてきました。一般会計当初予算ベース(補正予算などを含まない)では、2002年には100億円超だった予算は、2020年には350億円に迫るほどの予算がつくようになりました。しかもこれに東京オリンピックの1兆円を超える予算が加わります。その差はまさに大人と子どもといっていいほどになってしまいました。

その結果、教育や文化・芸術活動の予算が横ばい推移となる一方、スポーツは予算の大幅増加だけではなく、組織、人員、市場規模を拡大させ、その勢いに乗って、2015年には文部科学省の外局「スポーツ庁」を設置するに至っています。

スポーツと音楽との格差は、このように特に21世紀に入ってから顕著なものとなったのです。その裏にはスポーツ界の、政治家をも巻き込んだ、血の滲むような努力があったと考えられます。音楽業界の立場に立った強い影響力を持つ国会議員はあまり見かけませんが、スケートの選手、プロレスラー、柔道家などスポーツに関係する議員はよく見かけるのもその現れです。

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