音楽大学がここまで凋落してしまった致命的弱点 学生数激減で経営危機!何を間違えてしまったか

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音楽大学の知られざる危機を探ります(写真:Ushico/PIXTA)
少子化が叫ばれて久しい中ですが、大学全入時代にあって、実は大学の学生数は増えています。一方で、音楽大学は異常ともいえる学生減に見舞われています。その原因はどこにあるのでしょうか?
銀行支店長から音楽大学教授へ転じた異色のキャリアを持つ大内孝夫氏の著書『音大崩壊~音楽教育を救うたった2つのアプローチ~』より一部抜粋、再構成してお届けします。

恵まれた立地と充実した教育環境

私は多くの音楽大学にうかがう機会をいただいていますが、どの音大も抜群の教育環境を整えています。

例えば指揮者の小澤征爾さんなど世界的な音楽家を多く輩出し、私立ナンバー1の呼び声が高い桐朋学園大学。新宿からキャンパスまで30分程度で行ける調布市内の閑静な場所に広大な敷地を有しています。東京音楽大学は著名人や財界関係者の住まいがある代官山、武蔵野音楽大学は、池袋から西武池袋線で6、7分の江古田といった具合で、近年大学の都心回帰が叫ばれる中、ほかの多くの一般大学がうらやむ、恵まれた立地条件にあります。

しかもキャンパスにはいくつものコンサートホールや防音がしっかり施された練習室などの充実した設備を有しています。最近は校舎の建て替えも盛んで、新しいキャンパスが続々とオープンしており、まさに音楽を学ぶにはうってつけの環境です。

授業は専攻楽器や歌などの個人レッスンや、少人数で行われるものが中心で、先生との距離も非常に近く、先生と学生がいたるところで会話しています。私などはマンモス大学に通っていましたから、語学を除けば授業は1教室200~300人で受けるのが普通で、身の置き場がなく感じることが多かったと記憶しています。

銀行員から音楽大学に転職した際は、彼我の学習環境の違いにただただ驚くばかりでした。

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