「日本のアニメ」と「CG」の幸福な出会い

サンジゲン松浦裕暁社長の挑戦

「CGディレクターは演出ができなければいけない」と提唱しています。

上田:なるほど。年末にSNSで「3DCGデザイナーのキャリアパスを実現したい」とおっしゃっていたのもそこにつながるのですか。

松浦:そうですね。CGをやっている人たちは技術者が多いんです。CGの技術に関してはすごくオタクだけど、話をまとめて作ったり新しい話を生み出したりするというのは不得意で、まだそういう人材がほとんど出てきてないんですよ。

でもこれからは、生産するという方向にも向かわなければいけない。アイデアを出したものがすべてスケジュールとかビジネスに乗る形で生産できることを前提にして、さらに面白いものを生み出す演出家や監督というのを育てなければいけないということで、そういう教育もしています。これはどこのCGプロダクションでもできないことで、僕たちのテレビシリーズをやって、さらに今後もテレビとか映画とかを作り続けていくというスタンスがあって、初めてできることなんですね。

CGディレクターって、入って1年目の人でも何十年経っている人でも、CGディレクターはCGディレクターなんですよ。でも、同じことができるかというと、やっぱり違うんです。新しいキャリアパスをつくらなければ一生、誰かが「作れ」と言うものを「作るのか」ということになり、CGのアニメーターたちは夢が見られないですよね。それはそれでつまらないと感じる子たちもいるので、僕たちはそういう新しいキャリアパスを作っていきたいと思っているんです。

それに向けて今僕が提唱しているのは、「CGディレクターは演出ができなければいけない」ということです。だから演出のいる仕事を全部経験させて、猛勉強させようと思っています。できれば、その次のプロジェクトの第2期で演出デビューをさせ、その中から才能のあるやつは監督になっていくというところまでいければ、その中からクリエイティブが生まれてくるかなと。

今度は映画で見られる、最高の『アルペジオ』

上田:1月31日に『劇場版 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- DC』が公開されましたが、テレビと映画の違いというのは、どのあたりにあるのでしょうか。

松浦:いちばんはレイアウトですね。映画は、大きなスクリーンで見るのと、部屋に置けるサイズの一般的なテレビで見るのとでは、レイアウトの感覚が大きく変わるんです。今回の映画は6、7割くらいは本編映像をしっかり使っているので、スクリーン上でキャラがどの位置にいるか、どの大きさで見えるか、というレイアウトの違いは大きいと思います。

上田:もともとCGで作ったことの強みはありましたか?

松浦:そうですね、ボタンを押せばクリアできるので、解像度を変えるなどの工程は一気に楽になりました。普通に劇場版を作るよりもはるかに手間はかからなかったという側面はあると思います、理屈上は(笑)。

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