「日本のアニメ」と「CG」の幸福な出会い サンジゲン松浦裕暁社長の挑戦
松浦:というものの、実際にはミスも見えるんです。普段はテレビのサイズで見てチェックをするので気づかないことが、スクリーンだとすぐ見えてしまう。手描きというのは全部意図的に書いているので基本的にミスがないんですが、対してCGは、キャラクターを動かすために関節を動かすんですが、そのとき身体に腕がめり込んだり、リボンがめり込んでしまったりというのは、簡単に起きてしまうんです。しかも、それはなかなか気づけないんですね。ちゃんと、リボンがめり込んでないかとか、脚がスカートを突き抜けてないかというのを注意して見ない限り、そのことには気づかないんですよ。
もちろん、ちゃんと全部チェックしてますけど、テレビだったら気づきにくい。でも映画は全部見えて、たとえ小さくても、めり込みが目に入ってきちゃうんです。そうすると、「あ、CGだ」とかちょっと醒めちゃうんですよね。一瞬でも、0.2秒でも、そういうのを全部つぶさないといけない、そういう苦労もありました。
上田:それはかなり大変な作業ですね。そういう意味でもテレビ版と比較して、圧倒的に高いクオリティーの映像で、かつ内容も盛りだくさんになったものが見られるということ、非常に楽しみです。
松浦:今回の映画制作中、最後まで全然見せてくれなかったんですよ。僕は最初に監督を呼んで、ムービーを見せて「監督、今回、この画(え)を作ってくれ」とかわがままばかり言って、監督もその映像を見ていたので、「やりましょう、やりましょう」と、そういうことをやっていたんです。
でも、社長の僕が現場に出て行っちゃうと、絶対になってしまってみんながつらくなってしまう。そうなってしまうと大変な現場ですから、ある程度先にディレクションして、あとは「スケジュールは絶対ずらすな!」という程度で、ほとんどノータッチでした。最後の最後に見せてもらったときは感動し、安心しましたよ。「すげえな、サンジゲン」と。
(撮影:今井康一)
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