「瓶詰めサラダ」がこんなにも注目される理由 米国発の新世代フード、日本でもブームに

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ジャーサラダの作り方はとても簡単。具材を入れる順番だけ守れば間違いなく美味しくできる。以下のとおりだ。

① ドレッシング
② 液体につかっても崩れない根菜や豆など固いもの、またはシーフードなどドレッシングでマリネしたもの
③ トマトやアボカドなどのやわらかいもの
④ 葉野菜やハーブなど

 

通常のサラダは日持ちがしないため、作ったらすぐに食べなければならず、持ち運びにも不便だ。健康にいいのはわかっていながらも、なかなか自分で作って食べるのが面倒な料理のひとつでもある。日本古来の食べ物として親しまれる漬け物は日持ちがするものの、そのものだけでは食事にはならない。

働く女性のニーズにピッタリ

この点で、ガラス瓶に詰め込むジャーサラダは長持ちするだけでなく、野菜のほかに玄米やパスタなどの食材も一緒に入れられる。1食分のランチにもなるという優れものだ。米国ではセレブも利用しているという。日米ともにここまで話題になっているのは、料理の時間が短縮できるために、忙しく働く女性のニーズにピッタリだからであろう。

ジャーの活用は個人の料理に限らず、商業的にも展開できる。たとえば米国・シカゴでは、「Farmer's Fridge」という自動販売機を使ったプロジェクトが進行している。

「ローカルフードやオーガニックフードをもっと身近にしたい!」という思いから、ジャーに新鮮な野菜を詰めて自動販売機で売るという。ジャーに詰められて保存性が増した野菜を、人手をあまり介さずに長時間販売できる。野菜の生産者からすると、比較的手軽に販路を広げられ、購入者からすれば買った野菜を持ち運びしやすい。

「ガラス瓶に食材を詰め込む」。この単純な方法にスポットライトを当ててみると、今までになかった新たな食品が生まれる。さらには新鮮で美味しい食材の流通範囲が広がり、生産者も豊かになる。

米国はもともと年間1人当たりの野菜消費量が日本よりも多い。2009年のデータでみると、米国が123キログラムに対して、日本では102キログラム。ただし、1980年は米国102キログラムに対し、日本は123キログラムと全く逆の構造だった。日本でもジャーサラダが浸透していけば、より多くの人が新鮮で美味しいサラダを手軽に食べられるようになり、日本の農業活性化にもつながっていくかもしれない。

石塚 淑子 未来調達研究所 リサーチャー

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多摩美術大学卒業後、小売業、自動車メーカー等をへて現在は未来調達研究所株式会社でリサーチ業務に従業。とくに先端商品調査、ジェンダー論、小売流行調査などを手がける

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