コロナ禍に隠れた“準ひきこもり"の人々の実態 江戸川区7919人ひきこもりは氷山の一角に過ぎない

拡大
縮小

「なってしまった」「戻された」という言い方をしているのは、「テレワークのほうがいい」と思っているからにほかなりません。通勤の時間と労力、起床時刻が早くなること、人間関係のわずらわしさが少ない、精神面の気楽さなど理由はさまざまですが、「出社したくない」と感じている人がいるのです。

そんな人々の中には会社からの要請をかわすようにテレワークを押し通す人も……。「今までテレワークでもやれたのだから強制出社はおかしい」「サボリグセがある人や、会社に近い人だけ出社すればいい」などと言い張る人もいれば、「子どもの送り迎えがある」「最近、体調がよくない」「実は基礎疾患がある」などを盾にする人もいます。

これらの人々は「業務中の電話やリモート会議はする」などコミュニケーションを絶とうとしているわけではなく、あくまで「出社しない」という形での“準ひきこもり”状態。ひどい人になると、嘘をついて出社を拒否したり、ハラスメント被害や退社をチラつかせて認めさせようとしたりなどのケースもあるようです。

会社が組織である以上、出社しない人の穴埋めをする存在が必要であり、必然的に同僚の負担が増えるケースが増えてしまうもの。たとえば、「テレワークと出社を交替で行う」という方針の会社でも、「出社できない」とテレワークを押し通す人がいれば、同僚の出社日数が増えてしまいがちです。

このように同僚に負担をかけてしまうほど社内で孤立しやすく、自身の中にも罪悪感が残ることから、「ますます出社しづらくなって、けっきょく辞めてしまった」という人からの相談も受けました。ちなみにその相談者さんは新たな就職先の希望条件に、「完全テレワークであること」を挙げているものの、就職活動はなかなかうまくいかないようです。

とにかく感染はしたくない接触拒否

2つ目は、新型コロナウイルスへの怖さがきっかけとなった準ひきこもり。

最初は「絶対に感染したくない」という死や後遺症などへの恐怖から外出しなくなり、その状態が長期化するほど「せっかく頑張って気をつけてきたのだから」と警戒心が強固になってしまう人がいるのです。

特に基礎疾患がある人の警戒心は強くなりやすく、「あの人が近所にコロナを広げているのでは?」などと人間不信に陥っている相談者さんもいました。また、“ワクチンを打たない派”の人にも、外出を避けてひきこもりに近い状態の人が少なくないようです。

次ページすべての接触を避けるワケではない
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT