コロナ禍に隠れた“準ひきこもり"の人々の実態 江戸川区7919人ひきこもりは氷山の一角に過ぎない

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ただ、「オンラインでは顔を合わせて会話するけど、『会おう』と言われても絶対に応じない」「近所の人や宅配業者とはインターホン越しになら話す」など、すべての接触を避ける完全なひきこもりではありません。

また、全身に感染対策を施したうえで、朝や深夜などの人が少ない時間帯にスーパーやコンビニなどへ買い物に行くことも特徴の1つ。このタイプの人たちは、「ずっと準ひきこもりでいる」とは思っておらず、「コロナ禍が終わったら元の生活に戻すつもり」なのです。「準ひきこもりの生活を2年もしてきた以上、コロナ禍が終息するまでは今さら変えられない」という心境もあるのでしょう。

実際のところ私の周囲にも、「コロナ感染を恐れるあまり、恋人とも会わなくなって別れてしまい、よく家に来ていた友人との縁も切れてしまった」「『玄関前に山積みされたネットショッピングの“置き配”をしつこいくらい消毒しながら開梱している』と変わり者扱いされている」「毎日朝夕に犬の散歩で多くの愛犬家とふれ合っていたのに、ここ2年間はほとんど家から出ず、誰もその姿を見かけなくなった」などの人がいます。

しかし、もしコロナ禍が終息する日が訪れたとしても、準ひきこもり状態が長期化すると、「本当に終息したのか?」と疑心暗鬼になってしまうなど、なかなか元に戻りづらいのではないでしょうか。

YouTube依存の幼児や小学生と親

3つ目は、YouTube依存の幼児や小学生と、その親の準ひきこもり。

「子どもが泣きやむ。機嫌がよくなる」「言葉やマナー、やってはいけないことなどを覚えられる」「見ていてくれる間は家事や仕事ができる」「コロナ禍でお出かけができない子どもの不満を解消するため」などの理由から、乳幼児のときからYouTubeを見せる親は多く、子どもたちにとって“最初にハマるエンターテインメント”になるケースが増えています。

しかし、乳幼児はもちろん小学生になっても、まだ自分の行動や感情をコントロールできません。初めてハマったものを我慢することができず、「制限されると泣き叫ぶ」、あるいは「暴れるなど暴力的になる」という子どもが増え、悩む親たちからの相談をよく聞きます。

事実、この1週間だけで「お外は行かない。YouTube見る」と言い張る2歳児、タブレットをリビングだけでなく寝室にも持ち込み、食事中もつねに見ている3歳児、YouTubeを見るために幼稚園へ行かなくなった5歳児などの声を聞きました。さまざまな物にふれて感情を学び、人々と接することで社会性を育むべき時期に、準ひきこもり状態になってしまうリスクは計り知れないものがあります。

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