南果歩さん「重度のうつから再生して見えた景色」 離婚、がん闘病を経て見えた「神様のシナリオ」

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「新しい景色を見て深呼吸したら、心が少し軽くなりました。朝、散歩できるようになって、陽を浴びたり、小鳥のさえずりを聞いていたら、生きている実感を味わえた。当たり前の日々がありがたかった。そんな日々の力で、心は再生することに気付かされました。

だからね、心が死にかけた時、そこから逃げてみるっていうのは悪い選択じゃないと思う。逃げ隠れするという意味ではなく、今いる場所から動いてみること。見える風景が変われば、視点が変わるし、心持ちも少しづつ変わっていくから」

そして南さんは、離婚の道を選んだ。覚悟を持って挑み、12年間、何よりも家族を大切にしてきた。たくさんの良い思い出も育んできた関係性もある。潔く決断できたのはなぜだろう?

「それは、乳がんになったのが先だったからだと思っています。生きるか死ぬか、命の危機にさらされた時、人生で遭遇する困難の多くはささいなことだ思えたんです。さんまさんの言葉じゃないけど、“生きてるだけでまる儲け”ってホントですよ。命の大切さを知れば、信頼関係を失ってしまった相手と婚姻関係を続ける必要はないなと思えたんです」

困難も苦難も味わい尽くした後にあるもの

つまり、乳がんになったおかげで新しい道を選べたのだと。

「“キャンサーギフト”という言葉をご存じですか? がんからの贈り物という意味です。がんは患いたくない病ですけど、患ってしまったからこそ、得られるギフトもあると言われています。手術を受けて治療している最中は、私、この言葉の意味がわからなかったんです。病気になってよかったことなんてないと思っていました。

でも、今ならわかります。夫婦関係が壊れて、私の精神も崩れた時、キャンサーギフトは私のもとにやってきたんだと思う。先にがんを経験したからこそ、人生の本質をシンプルに捉えられて、自分を大切にしようと思えた。この順番も神様のシナリオだと思うし、それは正しいんだと思います」

病に限らない。困難も苦難も味わい尽くした後にこそ、ギフトがある。

「結果論ですけどね(笑)。離婚して、今、1人に戻れたことも人間としては良かったのかなと。パートナーがいた頃は、無自覚に依存していた部分があったことに気づきましたし。人生は自分1人で歩いて行くのが基本中の基本ですから、今、それをやり直している最中です。それに、1人だからこそ、楽しめることもきっとたくさんありますよね」

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