南果歩さん「重度のうつから再生して見えた景色」 離婚、がん闘病を経て見えた「神様のシナリオ」

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その最中の2017年、今度は元パートナーの問題が報道により発覚する。

その事に触れると、「もう、思考停止。真っ白でした」と笑いながら、さらりと語る。

「私ね、もう好きではなくなった人、信用できない人に対しては、感情を無にすることにしました。嫌悪も持ちたくない。怒りも自分の中から取り除きたい。そうなると、好きでもない、嫌いでもないゼロ地点に戻すしかない。自分なりに長いトンネルから抜け出す方法として、自分とその人や出来事を意識の中から切り離してしまう。健やかに生きるコツのひとつです(笑)」

キャンサーギフトがもたらした離婚の決断

しかし、当初は心や体には大きな負荷がかかっていたのだろう。一時、彼女は一切の感情を失ってしまう。「話せない、食べられない、眠れない」という状態が続き、明らかに心身のほころびが大きくなっていく。周囲の勧めで病院の診察を受けると、重度のうつ病と診断された。

「ここから、逃げよう。逃げてもいいよ」

南さんは最後の力を振り絞って、自分で自分にそう語りかけたという。

病院で処方された山のような薬を置いて、息子と友人のいるサンフランシスコに行くことに決めた。心身が痛んでいるときに居場所を変えることにはリスクもあるが、一方では、転地療養になるという希望的観測もある。南さんは後者に賭けた。

そして、その賭けに勝った。サンフランシスコでは、友人宅に間借りして英会話学校に通いながら、精神を回復させるための必要な規則正しい生活に努めた。ご飯が喉を通らなかったり、眠れない夜も多々あったけれど、少量でも3食を食べて、眠れなかった朝も学校へと通った。そうやって、日常を過ごす事で、南さんはゆっくりと再生していった。

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